最近聴いている「ゆる言語学ラジオ」の話

生活
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前書き

※記事内で「聞く」と「聴く」を一応使い分けていますが、厳密ではないのであまり突っ込まないでください

ここ最近、通勤や仕事の関係上、車を運転する時間がとても増えてきました。
車の運転は嫌いではないのですが、運転中はそれ以外のことが出来ないのがストレスです。
本を読むことはもちろん、スマホで時間を潰すこともできません。

しかしそんな中で、音を聞くという行為は、特別に運転を妨げるわけではありません。
さすがに爆音を流すと周囲への注意が散漫になるなどの支障が出てきますが、普通に流す分には特別危険な行為ではないはずです。

そういうわけで、最近運転中は専ら、ラジオ番組を流して聞くようにしています。
ラジオと言っても媒体はAMやFMではなく、YouTubeやPodcastのコンテンツです。
具体的なアプリとしてはSpotifyを使用しており、Bluetoothで車のスピーカーに音声を飛ばして聞いています。
色々番組がある中、とても興味深く聴いているのは「ゆる言語学ラジオ」というコンテンツです。

知ったきっかけ

ゆる言語学ラジオは、友人から教えてもらって知りました。
僕が『ミステリと言う勿れ』という漫画が面白かったという話をしている流れで「少女漫画の名作ミステリは多いよ、萩尾望都先生の『11人いる!』とかもそうだし」と話したところ、その作品タイトルに友人が反応しました。
友人が言うには、ゆる言語学ラジオというチャンネルで【なぜ『11人いる!』は「11人いた!」ではダメなのか?】という動画があるらしく、それで『11人いる!』を知ったということだったのです。

実際にその動画を聞いてみたところ、面白くて最後まで聴いてしまいました。
「る」と「た」というたった一文字の違いですが、確かに違うニュアンスがあります。
普段使っている言葉のためか、なぜ違和感を覚えるのか、自分がロジックで理解していないという気づきが得られ、とても驚きました。
直感的に「11人いた!」では確かにしっくりこないのですが、言語学というツールを使って理由を明快に説明してくれたのです(気になる方は動画を聴いてみてください)。

この動画によって、まんまとゆる言語学ラジオの魅力に取りつかれてしまった僕は、最初の放送から少しずつ聞いていくことになるのでした。

内容とその面白さ

ゆる言語学ラジオの大まかな内容や、何が面白かったのかということを、自分なりに大雑把にざっと紹介します。

動画は、堀本見(ほりもとけん)さんと水野太貴(みずのだいき)さんの二人の会話形式で進行していきます。
言語学の造詣が深い水野さんが堀本さんに問題を投げかけ、うまく説明できない堀本さんに対して、水野さんが解説していくという形式を踏むことが多いです。

一例を挙げると、次のような導入です(敬称略・文章は正確ではありません)。

「象は鼻が長い」の謎-日本語学者が100年戦う一大ミステリー #10】冒頭より

水野「堀本さん、『象は鼻が長い』という文の主語は何だかわかりますか?」
堀本「『象』じゃないですか?」
水野「でも『鼻が』ってなってません?」
堀本「ほんとだ。うーん、でも主語は『象』のような気がしますね」
水野「じゃあ『鼻』は何ですか?」
堀本「『象 is 鼻長』みたいなことじゃないですか?」
水野「でも『象の鼻が、長い』という意味じゃありませんか?」
堀本「ほんとだ。じゃあ『鼻』か」
水野「じゃあ『象』は何ですか?」
堀本「(苦笑)解決不能です」

「象は鼻が長い」という文章は、言語学界でも論争と諸説ある話題のようです。
このように、普通に日本語として通用している文章を、ふと切り取ってみたときに、簡単には説明できないことに気付かされます。
この気付きが凄く新鮮でしたし、それを理屈付ける言語学の理論と説明が面白いなと感じました。

その他にも、英単語の意外な語源について話す会や、漢字の部首の話、少数民族の言語の会など、僕にとっては全然知らない分野のお話が多く、得られるものが多かったです。
聴き手である堀本さんが、何も知らない体で話を進めてくれるので、リスナーは自身を投影させて聴きやすいと思います。

堅苦しい学術的な内容というよりは、割と話が脱線したり、頻繁にうんちくを語ってくれるため、ながら聞きするのに適度な雰囲気です。
かっちりと必要なことだけを話すわけではなく、正確性よりも娯楽性を重視する方向の番組なので、細かいところにこだわらず楽しめる人に向くと思います。
ときどき専門学者を招く会があり、そういった回はやや厳密性が上がっているように感じます。

話題となるテーマや内容も面白さの一つですが、やはり最大の魅力はパーソナリティの2人の面白さにあると思います。
堀本さんは、自身の専門外の話については聴き手に徹し、リスナーに寄り添います。
しかし知らないなりに、関連するうんちくや知識をなるべく話に出して、番組を盛り上げようとされているのが感じられます。
水野さんは、かっちりとした学者肌の人物なのかと思いきや、根は陽キャであったり、たまに暴言を吐いたりするギャップが面白いです。
守備範囲外の話題になると、途端に(堀本氏の言葉を借りるなら)ポンコツになるところがとてもチャーミングであると思います。
動画の最後の水野さんの挨拶「アリガトウゴザイマシター」は、演技が入っておらず素が出ている感じがして好きです。

いずれにせよ、二人とも変に自分たちを頭を良く見せようとするわけではなく、時には素の部分やポンコツなところをさらけ出しても、面白いコンテンツにしようと努力している点に好感を覚えました。
気楽に色々な分野の雑学を楽しみながら得られるという意味で、とてもお薦めの動画であると思います。
もし興味がある人は、まずは気になった動画だけでもつまみ食いしてはいかがでしょうか。
「ラジオ」と銘打っているだけあり、動画無しの音声だけで聞くリスナーに対して配慮されているので、何かの作業中に流したりするのにも便利だと思います。

派生番組

同番組の系列チャンネルとして、「ゆる〇〇学ラジオ」というチャンネルがいくつか存在しています。
代表的なものはゆる言語学ラジオの話し手と聴き手が入れ替わった「ゆるコンピューター学ラジオ」というものです。
水野さんが聴き手となり、堀本さんがコンピューターの歴史等について話していきます。

それ以外に全く違うコンビによる「ゆる天文学ラジオ」&「ゆる書道学ラジオ」、「ゆる生態学ラジオ」&「ゆる哲学ラジオ」、「ゆる民俗学ラジオ」&「ゆる音楽学ラジオ」などが存在します。
ゆる言語学ラジオとは違う個性を持った語り手&聴き手なので、新鮮味があると思います。
特に興味がある分野があれば、併せて聴いてみると良いかもしれません。

後書き

もともと僕自身が、色々な分野のことを広く浅くつまみ食いしたいと思っている人間なので、「ゆる言語学ラジオ」は、その欲を満たしてくれるコンテンツでした。
根本的にはバラエティを見ている(聞いている)感覚に近いのですが、「なんか賢くなった気がする」ような錯覚を与えてくれるので、時間を無駄にしている罪悪感のようなものはありませんでした。
衒学的な傾向がある人は満足できるのではないでしょうか。

作業をしながらでも聞くことができるコンテンツは、特別時間を割くわけではないので、気楽に試しやすいと思います。
興味があれば、何かの作業の際などに、一度流してみてはいかがでしょうか。

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