Huyumi氏制作のノンフィールドRPG「ルシアの夢想」を紹介する記事です。
もともと成人向け作品として販売されていた作品でしたが、全年齢版がフリーゲームとして公開されるようになりました。
高い戦略性の戦闘と、静謐な雰囲気で包まれた世界が特徴のRPGです。
クリア時間は約2時間半でした。
ゲーム概要(ネタバレ無し)
主人公が目覚めると記憶が無い状態で、目の前にはルシアと名乗る少女がいました。
記憶が無いのは魔王のせいであり、魔王を倒して英雄になることが主人公の役割だと説明されます。
魔王を倒すために、ルシアと共に旅立つことになります。
本作はノンフィールドRPGです。
フィールドの概念はなく、戦闘とイベントを繰り返してゲームを進行させていきます。
上の画像では、剣のマークをクリックすると戦闘になり、!マークをクリックするとイベントとなります。
画面上の矢印をクリックすることで村へ行くことができ、左矢印は前のエリア、右矢印は次のエリアへ行くことができます。
ゲームオーバーの概念はなく、戦闘で負けると、再挑戦か撤退か選ぶことが出来ます。
戦闘はすべて固定戦闘で、その戦闘の初回クリア時に能力値がアップしたり、新たなスキルを取得したりできます。
すでに倒した敵と再戦することはできますが、重ねて何かが得られるわけではありません。
本作の戦闘システムは独特です。
敵との距離を調整しながら、攻撃を避けたりパリィして、ダメージを受けないよう攻撃のチェインを続けていくというのが基本方針となります。
戦闘画面の左端中央には、数字が書かれたマス目が表示されています。
ここに、自分の現在位置(〇で囲まれた場所)と、敵の攻撃予定位置(数字はターン数)が表示されています。
上の画像の例だと、現在自分は真ん中におり、現在地と上の場所は、このターンで敵の攻撃を受けることになります。
したがって、下に移動しながら攻撃すれば、敵の攻撃を回避できます。
もしくは、剣が交差しているマークはパリィ出来る印なので、上に移動しつつパリィ攻撃を行なえば、敵の攻撃を受け止めつつ攻撃できます。
(☑マークはフィニッシュ攻撃で、最後に使用すると攻撃の倍率が大きく上がります)
ここで、下の移動するカードを選ぶと、次は下の画像の状態になります。
先ほど表示されていた数字が1つ減り、すべて左に移動してきています。
次は、一歩上に移動しないと、この場に居たままだと攻撃されてしまうということになります。
その後は少し時間の間隔がありますが、真ん中に居たままだと攻撃に晒されることがわかるので、上方向に移動しないと危ないということがわかります。
文章では伝わりにくい部分があると思いますが、戦闘はこのように進んでいきます。
こちらがダメージを受けない限り、与えられるダメージは倍率でどんどん大きくなっていきます。
一度でもダメージを受けてしまうとチェインがリセットされて初期値に戻ってしまうので、敵の攻撃を封じ続けることが求められます。
「待機」行動によって、1ターン待ってみたり、ターンごとに回数制限のある「エンチャント」により、攻撃にパリィ効果を付けたり、場所を移動する効果を付けて、臨機応変に対応するコマンドもあります。
これらを駆使しながら、敵の攻撃をかいくぐっていくのが醍醐味です。
実際のゲームでは、序盤の戦闘はチュートリアルのように、少しずつシステムを学んでいける戦闘の作りになっており、ルシアも丁寧にサポートしてくれます。
最初は難しそうに感じるかもしれませんが、怖がる必要は全くないと思います。
メニュー画面では、心装(スキルのこと)を付け換えたり、戦闘時の行動手札を変更したりできます。
戦闘にランダム要素がないことを考えると、勝てるかどうかは準備に全てがかかっていると言えます。
強敵で行き詰ってしまった場合は、この画面でじっくり考えることになるでしょう。
感想(ネタバレ無し)
最後までクリアしました。
独自のシステムが際立つ戦闘システムですが、プレイヤーが少しずつ理解していけるように、実戦を通して丁寧に学んでいけます。
プレイしていく中で自然とシステムが理解できるようになっているので、とても親切で丁寧な作りです。
戦闘は、通常のRPGというよりも、敵の攻撃タイミングに合わせて行動を選んでいくという、非リアルタイムな音ゲーのようなプレイ感を覚えました。
事前にガチガチな準備を求められるわけではなく、どんな状況にも対応できるようなスキルをセットしておけば、ある程度対応できます。
予想外の攻撃にはエンチャントで対応するという形で、ストレスなくプレイできます。
あまりに偏ったセットをすると、どうやってもクリアできないという可能性はあるでしょうが、敗北しても再挑戦や撤退は容易にできますし、問題ありませんでした。
物語の登場人物は少ないですが、プレイヤーの想像を掻き立てるテキストが魅力的です。
会話中の選択肢は多めであり、作中のキャラクターたちは、プレイヤーの選択に応じた反応を見せてくれるため、作中への没頭感があります。
同作者の『ブレイカーハーツ』のように、プレイヤー自身の考え方を濃く反映させられるように、選択肢の内容が幅広いのが印象的でした。
グラフィックは総じて美しく、クオリティが高いです。
メインキャラのルシアをはじめとして、敵グラフィックや、そのほかの画面も綺麗です。
BGMは静かな雰囲気のもの、緊迫した雰囲気のものが多いですが、盛り上がる所では激しい曲やドラマティックな曲が流れます。
元は有償で公開されていた作品なので、納得の美麗さです。
難易度は決して高くないので、気になった人はプレイしてみてはいかがでしょうか。
感想(ネタバレ有り)
とても戦闘が面白く、最後まで一気にクリアしてしまいました。
途中、解法が分からず詰まってしまうということはほぼ無く、初回でそのまま撃破できるか、一度撤退して対策すれば倒せることがほとんどでした。
ダメージの基本値が減ってしまうデメリットがありますが、基本、すべての行動にパリィかフィニッシュの属性をセットして戦っていました。
急いでダメージを上げていかなければならない敵はいなかったと思うので、特に困ることはありませんでした。
ラスボス撃破時の設定は、以下の画像の通りです。
ラスボスだけはかなり苦戦して、何回も挑戦し直すことになりました。
ターンごとのダメージ量が少ないと、ラスボスの最後の攻撃パターンに押し切られてしまうようですが、何とか倒し切ることができました。
何とかギリギリ倒し、「ああ、これで―――ようやく、」というセリフが出たので、やった!と思っていたら「本気を出せる」と言われ、本当に震え上がってしまいました。
しかし、その後の戦闘はほぼイベント戦闘のようなものなので良かったです。
僕は最終的に、魔王を殺してしまうエンディングを選びました。
道中の会話でも、魔王を倒すという選択肢を選んでいましたし、自分の考えをあまり変えない方が良いニュアンスのことも言われていたので、ブレずに殺してしまいました。
これはおそらく自分自身が、そのときの感情や雰囲気よりも、過去の自分の行動に矛盾が生じないような一貫性を重視する性格だからなのかなと思います。
ゲームの中の選択肢くらいは、間違っているかもしれないと思ったときは考えを変えて、その瞬間の気持ちを優先させることも大事かもしれない、と考えさせられました。
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