前書き
RPGツクール2003ベースで作られた作品「Re:Stars And Lights」をプレイしました。
いわゆる「見るゲ」と言われるVIPRPGであり、自分で操作して遊ぶゲームではありません。
少し前に「詩歌を嗜む Re」という見るゲに触れて感銘を受けてから、見るゲに対して取っつきやすくなった気がします。
本作「Re:Stars And Lights」を知ったきっかけは、Twitter上での紹介ツイートで興味を持ち、プレイしました。
本編クリア時間は、約1時間だったと思います。
クリア後のオマケである開発室も含めると、合計2時間ほどだと思います。
ゲーム概要
治安の悪い裏通りの店主として一人で頑張ろうとするダークネスⅠと、親友でもあり家族でもあるスターライトⅠを中心に描いたストーリーです。
暴力組織に課せられた、理不尽なみかじめ料の金策に悩むことからストーリーが始まります。
一方ポテチ王国では「マジッククリスタル」という非常に強力な魔導具が盗まれ、犯人の捜査を始めます。
双方で進むストーリーが、やがて王国を揺るがす事態へと繋がっていきます。
一部、暴力シーン、流血、グロテスクな描写や性的なシーンがあります。
プレイする際はご注意ください。
ゲームは5つの章から成っており、1つの章が10~15分程度で区切られています。
章が終わると、次の章へ進むことができます。
任意の場所でセーブできるわけではないので、ゲームを再開する際は、必ず各章の頭からとなります。
ただし、文章の表示速度やスキップの設定をオプションで変更できるため、ストレスなくプレイすることが可能でしょう。
見るゲと言えば、マップ上でのキャラが動き回るなどの演出面が見所の一つです。
本作でも、戦闘の演出などは非常に手間をかけて作られており、見ているだけでとても楽しいです。
序盤は人物同士の会話が中心のドラマですが、後半は存分にアクションシーンで魅せてくれます。
感想(ネタバレ有り)
バトルアクション映画を見ているようで、とても面白かったです。
1章~3章の会話中心のドラマと、4章~ラストのバトルと、後半に向けて物語がどんどん加速して盛り上がっていくのが良かったです。
様々なキャラクターが、様々なシチュエーションで戦う演出が見られて、とても興奮しました。
強大な敵に対して、一人一人が死を覚悟して、後の人のために少しでも削っていこうと立ち向かうのが、とても燃えるシチュエーションで熱くなりました。
ストーリーについては、良い意味でシンプルで分かりやすかったです。
本作最大の見所は、やっぱりバトルシーンだと思いますし、その分物語が複雑でないのは良かったと思います。
序盤は、迷惑をかけたくないという思いで、問題を抱えこんでいくやみっちが丁寧に描かれていました。
プレイヤー側としては「周囲に相談してくれ!」と思いながらも、過去のトラウマのために相談できないという葛藤があり、納得感をもって語られています。
不幸な間の悪さも重なり、ついにやみっちが限界を迎えたところに、虐殺を実行できる手段が揃ってしまったという点が、どうしようもなく不幸なところです。
開発室のオマケでも語られているように、何度も助かるチャンスはあったのですが、本人の不幸気質のせいか、ことごとく悪い方向へ事態が転がってしまいました。
ライチが言っているように、どれだけやみっちが苦しんでいたとしても、それを本人が言わなければ、周囲は分かりようがありません。
ライチは何度か手を差し伸べたのですが、それを受け入れなかったのは結局本人です。
やみっちの境遇を考えれば仕方ないのかもしれませんが、「あたしの気持ちぐらい理解しろ!」と言うのは、周りにしてみれば、わがままな八つ当たりだと感じてしまうでしょう。
ライチが「そんなんじゃ分かりっこないってっ!!!」と叫ぶのはもっともです。
現実においても、自分が弱い人間だと思われるの嫌で、声を上げられない人は大勢います。
しかし、お互いの信頼関係が真に構築されているなら、それくらいで嫌われることはないはずだと信じられるのではないでしょうか。
やみっちが最も不幸だったのは、どうしても他人を信じ切ることができないトラウマを持っていたことなのだと思います。
無償の信頼関係といえば家族が典型例ですが、それはやみっちが持てなかったものです。
結局、周りの善意を受け入れることができなかったやみっちは大虐殺を行いますが、最後には敗れてしまいます。
引き起こした結果を、マジッククリスタルによって元に戻し、その代償として自分自身が消えることで、物語としては収まりがついています。
全て元通りと言うことで、後味がそこまで悪くはありません。
本作から教訓を得ようとするなら、「苦しいときには素直に助けを求めよう」と言ったところでしょうか。
自分の気持ちなんて、言わなければ周りには分かりません。
「言わなくても分かってくれよ」という気持ちも分からないではないですが、先に自分から他人を信頼しなければ、相手からの信頼は得られないものです。
クリア後に入れるオマケ部屋は、ボリューム満点でした。
本編クリア後にすぐプレイするより、少し心を落ち着かせた後に読むと、いい具合に思い出しながら追想出来ると思います。
各キャラクターの解説や、本編のシーン進行に沿った制作者の解説など、裏事情や苦労話などがたっぷりと語られています。
プレイヤー側としては、なかなかわからない苦労などが語られていて、色々と勉強になりました。
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