オカルティックホラーと銘打たれたADV『オカルティックデッド』の紹介記事です。
これまで本ブログで紹介してきた『真・村雨』『ヒトミサキ』『SHADOW』の作者・裏束氏による作品です。
霊などを題材にした作品ですが、ミステリー要素がある作品です。
オカルトに関する本作独自の設定が興味深くフェアな推理ゲームが楽しめます。
クリア時間は約5時間強でした。
ゲーム概要
堂島美弥(どうじまみや)は、友人の綾瀬と共に、心霊現象を撮影する企画に参加することになります。
軽い気持ちで参加した美弥たちでしたが、思わぬ状況となり事態が深刻になってしまいます。
そんな状況で、心霊現象を扱う業者を紹介され、藁にもすがる気持ちで助けを求めることになります。
本作は主に、心霊がらみの案件を扱う業者「滝峰事務局」に勤める新谷岳(あらたにがく)と、堂島美弥の二人の視点で進行していきます。
物語の進行に応じて、視点は自動的に切り替わります。
各エピソードの導入パートが終了すると、行動選択画面が出現します。
それぞれのエピソードは、検証→調査→考察→解決という流れで進めていくことでクリアできます。
「検証」は、事件の確認のようなものです。
事件の流れを再確認し、何が問題で、何が謎なのかということを明確にする役割があります。
現時点で分かっていることと、足りていない情報を明らかにして、この後の調査パートでやることをはっきりさせます。
「調査」は、検証で明らかになった情報不足について、実際に足を使って調べることになります。
事件に関することの聞き込みを行なったり、現場を調べたりすることが必要となります。
重要な情報については記録という形で保存され、次パートの考察で使います。
十分な情報が集まったと思ったら、任意のタイミングで調査を終了することが出来ます。
仮に終了しても、また調査を再開することは可能です。
クリアに必要な情報が全て集まったかどうかは明確には分かりませんが、いくつくらいの情報を集めればいいかというヒントは貰えます。
十分な情報が集まったなら、次は「考察」パートです。
ここでは事件の真相に迫るため、選択肢を選んで推理を進めていきます。
調査パートで十分な情報が集まっていないと、正解の選択肢が出ない場合があります。
ここで推理を固めたら、次の「解決」パートを選びます。
間違った考察を構築していると、若干違和感を感じる旨のメッセージが表示されます。
間違えた考察のまま解決パートを選ぶとバッドエンドとなり、ゲームオーバーとなってしまいます。
ゲームオーバーとなる原因は、考察が間違っているか、調査での情報が足りていないかのどちらかです。
どこでセーブしてしまっても詰むことは無いので、情報を確認してよく考えてみましょう。
感想(ネタバレ無し)
最後までとても楽しくクリアできました。
オカルトを題材にしていますが、これまでの作品と同様にミステリ要素があり、サスペンスアドベンチャーと言える内容です。
心霊的な現象や仕組みについて独自の設定や解釈があり、とても面白いと感じました。
難易度は、普通~やや難しいと言えるかもしれません。
最悪、総当たりでもクリアできないことはありませんが、選択肢の組み合わせを考えると大変でしょう。
調査で明らかになった情報に基づいた推理が求められます。
調査パートは、そこそこ広い街中を歩き回るため、マップの繋がりを覚えるまでは少し大変かもしれません。
しかし有力な情報が手に入るポイントは、重要キャラがいる場所がほとんどです。
とりあえず彼らに話しかければ間違いないでしょう。
何の脈絡もなく、特定の場所を調べないといけないような意地悪なポイントは(ほぼ)ないと思います。
本作は、複数のエピソードで話が区切られています。
基本は1つのエピソードで完結しますが、前のエピソードで解明されていない謎が引き継がれていき、最後に大きな謎に膨れあがっていく展開になっていきます。
さりげなく張られた伏線を回収していくラストは、過去作同様で気持ち良いです。
裏束氏のこれまでの作品をプレイした人であれば、安心して楽しめる作品だと思います。
手頃なボリュームなので、気になった人はプレイしてみてはいかがでしょうか。
攻略メモ(ネタバレ有り)
本作で、僕自身が手こずったポイントについて、攻略ヒントを書いていこうと思います。
犯人の名前などの直接的なワードは載せていません。
人によって詰まってしまうポイントは千差万別だと思うので、もし参考になれば幸いです。
キズナ君編
調査パートが少し難しかったです。
人に関する情報4つ(西城+容疑者3人)と、公園の中の痕跡3つ(ベンチ・木の根元・木の下)まではすぐに見つかりました。
しかし最後の1つが難しく、街中をかなりぐるぐる探し回ってしまいました。
事務局近くの電柱を複数調べていくことで、ファイル「街灯の張り紙」を発見できます。
タケマルが気にしていたポイントをほとんど覚えていなかったのがまずかったです。
最恐悪霊編
犯人の指名と、怪しい点の指摘が難しかったと感じました。
何について気を付ければ良いかのヒントがはっきり出ていますが、実際の犯人の証言がとてもさりげなく、全然見破れませんでした。
ヒントは、除霊方法についてなぜか知っている人物です。
ダークライダー編
情報を5つ集めたら考察に入りますが、考察そのものがなかなか複雑です。
以下の選択肢で選べば先へ進めます。
どうしても難しい人は参考になればと思います。
・犯人の目的について
他にも被害者がいる→不破由里子を殺したため→何らかの悪事を働いた→ダークライダーが他に狙いそうな人物について
・犯人自身について
境ヶ丘市を熟知している→自身の痕跡を綺麗に消している→悪事を働いた者ばかりを狙っている
最後の事件
一度失敗してゲームオーバーにならないと、必要なフラグの立て方が分からないと思います。
ゲームオーバーになってヒントを確認した後、再度やり直しましょう。
具体的には、考察で犯人を確定させたあと、解決を始める前に、再度調査を行って情報を入手する必要があります。
犯人の正体そのものは、これまでの容疑者と接点を持ち得る人物という線で考えれば、それほど難しくないと思います。
感想(ネタバレあり)
本作で印象に残っているシーンを紹介しつつ、感想を書いていきます。
犯人や事件の真相に関するネタバレがあるので、プレイ前の人は閲覧しないことを強くお勧めします。
いくら親友が辞めたからといって、こんなに簡単に自分も辞めるかな?と、少し違和感はありました。
ストーリーの都合上だと考えていましたが、クリア後に考えると納得です。
行方不明になった少女が霊になっているので、ハッピーエンドは難しいだろうな…とは思っていました。
やはり既に亡くなっており、何ともやり切れない気持ちになっていたところに、沼井の涙で心を打たれました。
霊感の強い人間は、他の世界線の多くで死んでいることが多く、魂の純度が高くなっているという説明は、何だか腑に落ちました。
秋島の迫真の表情により、こいつが危険な奴なのだとミスリードされてしまいました。
実際は由里子のことを助けたかっただけだということで、ループ物の主人公のような動きをしていました。
デスゲーム的なものが始まるのかとワクワクしましたが、ご主人様の助かる要素は皆無なので、ただの処刑でした。
ネットにアップしたのが神田だということは、キズナくんのデザインは神田なのでしょうか。
神経を逆なでするような煽り力の高いセリフはさすが神田です。
普段は頭も切れて格好いい滝峰ですが、ズレているところは大きくズレているので、周囲からもドン引きされてしまいます。
さすが変JINです。
常識人に見えて割と直情的な美弥なので、沼井にしてみればこのような評価になるのでしょう。
沼井は少し人見知りだというだけで、割と前向きに色々とこなしているので好きなキャラの一人です。
ついつい応援したくなってしまいます。
沼井はあまり女性に免疫がなく、少し褒められるだけで舞い上がるチョロさなので心配です。
安西は倫理観が壊れていますが、単に自分の好奇心や欲望に素直なだけとも言えるかもしれません。
初回エピソードですぐ死んでしまった玄妙ですが、後のエピソードでかなりの実力者だったことが明らかになっていきます。
プロローグでは噛ませ犬のように思ってしまっていて申し訳ないです。
死後強まるゲンって『HUNTER×HUNTER』みたいでカッコいいですよね(言いたいだけ)。
吾妻は、悪事をさせようとして情報を提供していたわけではなく、単純に依頼人に共感して助けたかったということがわかりました。
他人へ危害を加えようとする人には、リスクがある方法を提供していますし、ベースが人助けにあるので、悪だと断じきれない点がありました。
吾妻の中にも基準があるようですが、盗聴してコソコソ行うということ自体、やってはいけないことだという自覚はあるのだとと感じます。
ストレートに滝峰たちに「教えてくれ」と頼んではいないのでしょうか。
ハッキリ白黒つけなくても良い揉め事に対して、人死にが出てしまうところまでエスカレートする手助けをしたのは、吾妻に責任があるかと思います。
人間という生き物が好きなのは本当なのでしょう。
好きなものをじっくり観察できる探偵という仕事は、彼の天職なのかもしれません。
初回はコメディのような形で始まった滝峰のおまけシナリオでしたが、最後は涙せずにはいられない展開でした。
本編で滝峰が鳴いていた理由が判明し、そんな事情があったのかと驚きました。
最終的には猫としてポピーちゃんと居られることになったので、良かったなと思います。
『真・村雨』や『SHADOW』などとの繋がりを掘り下げるオマケシーンは、一連のファンには嬉しい要素です。
本作に直接関わりがあるわけではありませんが、シリーズを追っているファンへのご褒美という要素もあるのでしょう。
『ヒトミサキ』の登場人物はあまり見かけないので少し寂しく感じます。
高島弟は、『金田一少年の事件簿』の地獄の傀儡師のような犯罪コーディネーターのポジションになっているように見受けられますが、いつか決着が描かれるのでしょうか。
『SHADOW』の登場人物たちへの的確な占いに舌を巻きました。
「頭のいい人間を目指してるようだが諦めろ」というのは、ストレートで凄く良いアドバイスですが、少し可哀想な気もします。
新谷がこれだけの占いが出来るのであれば、美弥も鍛えればもっと凄い占い師になれるのかもしれません。
本ブログで紹介しているゲーム系の記事まとめ
コメント