人斬りと正義の噺(フリー・読むゲ)紹介・感想

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VIPRPG紅白2022で公開された読むゲ『人斬りの正義の噺』を紹介する記事です。
人を斬ることを生業にして旅をしている女侍が、「正義の街」に立ち寄った際のことを描いた短編作品です。
テーマは重そうに感じますが、さらっと気軽に読めて楽しめる作品です。
前作『人斬りと人喰いの噺』をプレイして面白ったので、プレイしようと思いました。

クリア時間は約30分でした。

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VIPRPG紅白2022(作品番号11)

ゲーム概要(ネタバレ無し)

主人公である「わっち」(名前は不明)が、路銀を稼ぐため、興味本位で「正義の街」に立ち寄った際のことを描いた作品です。
「わっち」は、己の愉悦のために人斬りを生業としており、自分が悪という認識がるアウトローですが、自分が嫌いな「正義」を標榜する街がどんなところなのか、気になったのでしょう。
正義の街の存在を知り、そこで過ごした数日間を描いています。

ゲームとしては、ノベルゲームと同じように文章を読んで進めていきます。
選択肢は特になく一本道の作品です。

本作ではしばしば、料理に関する描写が事細かに行われます。
本編とはあまり関係ないのですが、美味しそうな画像が表示されるということもあり、プレイヤーの食欲を掻き立てる部分があります。
切実に飯テロを避けたいダイエット中の人はご注意ください。

感想(ネタバレ有り)

それほど長い作品ではないので、読むのにそれほど時間はかからないと思います。
『人斬りの噺』『人斬りと人喰いの噺』から続く、一人称が「わっち」の女侍のシリーズ作品です。

固有名詞が登場せず、「正義の街」というように、特徴を端的に表した名付け方は、寓話のように思いながら読んでいました。
浮浪者に街の話を聞く辺りで、この街のモデルは日本のネット社会のように感じられました。
ちょっとした落ち度があるだけで、直接関係のない人たちに正義面で私刑を受ける様子は、よく見られるネットリンチを連想しました。

本作は、特にそういったことを説教臭く描いているわけではないですが、そういった風刺的な意味合いを感じ取ってしまうのは、僕自身がこのように感じているからかもしれません。
「わっち」は、自分が薄汚い人殺しの異常者だと認識しているアウトローですが、そんな「わっち」から見ても、この正義の街は薄気味悪く感じられるように描かれています。

両者の違いは、自分に対する認識があるかどうかでしょう。
自分が異常だと認識した上で選んでいる「わっち」と、これが普通だと思っている市長や住民、プレイヤーはどちらが恐ろしく感じられたでしょうか。
(もちろん住民全員が異常というわけではなく、恐怖によって従っているだけの人も多いと思いますが)

単純な強さで言うなら、「わっち」は鬼のように強いので、負けることはありません。
しかし、普通に対応してくれていた宿屋の主人が、市長の号令と共に襲いかかってくるのは不気味です。
正気を失って襲ってくるのならまだ良いのですが、一見普通に見える人が襲ってくるのが恐ろしいです。

「わっち」が、至極真っ当なキャラクターかのように描かれていますが、それを否定するように最後、しっかり人斬りが大好きな異常者ということが描かれていて良かったです。

「わっち」が様々な変わった国を訪れていくという噺も、モトラドで旅をする某ボクっ娘の物語のようで面白いなと感じました。

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