目次
前書き
漫画「GIANT KILLING」は、2007年からモーニングで連載している、サッカーを題材にした漫画です。
2021年6月の時点で、既巻58巻と長期に渡って連載しており、まだ完結していません。
以前、序盤が無料で読めるキャンペーンが行われていた際に興味を持ち、それをきっかけに引き込まれてしまいました。
僕はサッカーというスポーツが特別好きというではありませんし、嫌いでもありませんでした。
ワールドカップで話題になっているときは、にわかファンとして中継を観ることもありますが、試合を通して観るほど熱心なわけではありません。
サッカーについて詳しいわけでもなく、「オフサイド」を説明出来る程度のルールは把握していますが、細分化された役割などはよくわかりません。
せいぜいFW・MF・DF・GKといった基本的なポジションを知っているくらいです。
とはいえ、スポーツ漫画はどんなものでも、読んでみればそれなりに面白いものが多いので、本作を読んでみてハマったのは意外ではありませんでした。
今回は、「GIANT KILLING」をなぜ面白いと感じたのか、自分なりに考えてみようと思います。
「GIANT KILLING」とはどんな漫画なのか
「GIANT KILLING」の主人公は、達海猛(タツミ・タケシ)という監督です。
本作の内容をシンプルに言うなら、弱小チームの監督に就いたタツミが、戦略や戦術を駆使して、格上相手に勝っていくというものです。
タイトルにもなっている「ジャイアント・キリング=大物食い」が物語の柱となっています。
とは言っても、決してご都合主義や運で勝利していくわけではありません。
自チームの選手の長所を見極めて生かし、さらに相手の弱点を分析した上で、そこを突いていく過程が丁寧に描写されており、試合展開には納得感があります。
引っ張り過ぎるわけではなく、あっさりしているわけでもない、絶妙なテンポで進んでいく物語が持ち味だと言えるでしょう。
また、サッカーという他人数同士のスポーツでありながら、選手個々に関するエピソード描写が丁寧で、群像劇としてもよくできています。
サッカーというスポーツはプレイヤーだけでなく、チームのスタッフ、サポーター、選手の恩師、家族など、とても多くの人が関わっているということを認識させられます。
「GIANT KILLING」との面白さとは
さて、前項で説明したような内容の漫画「GIANT KILLING」ですが、何がそんなに面白かったのか、自分なりに考えてみました。
僕は「将国のアルタイル」や「銀河英雄伝説」といった、戦記物の作品が好きです。
強大な相手に対して、知恵や策略で対抗するという構図の作品であれば、どれも血が騒ぎます。
また、「カイジ」「嘘食い」「ジョジョ」など、騙し合いが登場する作品は大抵好きです。
「GIANT KILLING」の面白さも、ジャンルの違いはあれど、そういった作品と共通した面白さがあるのではないでしょうか。
本作の面白さについて、いくつかの要素を抜き出してみました。
格上相手に知恵で勝つ
強い相手が弱い相手に勝つのは何も意外性がなく、そこに面白さは生まれません。
しかし、弱い相手が強い相手に勝つというのは一般的に難しく、だからこそ「どうやって勝つんだろう?」という興味に自然と繋がり、面白くなりやすいと言えます。
本作はタイトルが「GIANT KILLING」ですから、その種の面白さは常に備えています。
弱い相手が強い相手に勝つためには、すぐにはどうにもならない部分で対抗するのではなく、知恵や策略を駆使しなければなりません。
1対1で戦うスポーツではなく、他人数で戦うサッカーだからこそ、個人の力の影響は小さくなり、工夫できる要素が多いということになります。
監督の達海は試合中だけでなく、そのさらに前の段階から、勝つための布石を打ち続けます。
例えば、シーズン開幕直後のプレスカンファレンスにて、各チームの監督が今シーズンへの意気込みを発表する場で、達海は以下のような発言をします。
弱小チームの監督が変わったくらい何とも思っていない他チームに、一泡吹かせてやるというのが基本路線であるため、スカッとする痛快な展開が多いです。
弱者が強者に成長していく
策略で勝っていくといっても、ずっと味方が弱者のままでは、気持ち良くありません。
選手が成長していく描写も、しっかりとあります。
特に、選手側の主人公と言える存在の「椿大介(ツバキ・ダイスケ)」がメキメキと成長していく姿は、スポーツ漫画としてシンプルな楽しさが味わえます。
椿だけでなく、登場する選手たちは敵も味方も含め、達海に引っ張られて成長していきます。
味方だけでなく、敵も学習して手強くなっていく点は、ご都合主義的ではない本作に、さらなるリアリティを与えています。
人間ドラマが面白い
弱者が強者に勝っていくというメインストーリーが面白いのはもちろんですが、さまざまな登場人物が織り成す人間ドラマも見所の一つです。
敵も味方も、強さと弱さを持った人間として、人間臭く描かれています。
だからこそ本作は素直に共感でき、魅力的に感じるのでしょう。
監督である達海は、飄々として不真面目そうな雰囲気であり、最初は本心があまり描写されず、どこかミステリアスな部分がありました。
そんな達海ですが、誰よりも熱い闘志を秘めており、それを表に出したときには思わず格好いいと感じてしまいます。
あまり自分のことを語らない達海ですが、話が進むと、自らの過去や心の内を吐露するシーンがあります(30巻)。
自分の弱さをさらけ出して、選手たちを鼓舞するシーンは、自分も読者として涙してしまうくらいでした。
単に勝った負けたという漫画ではなく、きちんと人間を描いているからこそ、心に響くのだろうと思います。
あとがき
「GIANT KILLING」を最初から読み直して、改めて面白いと感じたため、記事にしてみました。
サッカーに興味ない人であっても「弱者が強者に勝つためにやれることをやる」という内容が好きな人であれば、十分に楽しめる作品だと思います。
(同じような系統の作品としては、野球漫画の「ONE OUTS」も超オススメします)
本作を読むまで、少し取っつきにくいと感じていたサッカーですが、どこか親しみをもって観られるようになりました。
サッカーそのもの面白さを語ることまではできませんが、本作の面白さは語れていると良いなと思います。
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