Eumenides エウメニデス(フリーSRPG)紹介・感想

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本記事では、古代ギリシア時代を題材にしたシミュレーションRPG「エウメニデス」(Eumenides)を紹介しようと思います。
歴史をもとにした背景に厚みがあるストーリーと、集団戦の雰囲気を出すために工夫されたゲームデザインが特徴的な作品です。
プレイ時間は、最終章のセーブデータでは7時間弱(ノーマルモード)でした。

ダウンロードはこちらから(「ふりーむ!」作品ページ)

リマスター版(最新)

エウメニデス

エウメニデス(軽量版)

ゲーム概要

舞台

紀元前400年ごろのキュロス2世の時代が舞台です。
王位簒奪のために挙兵する王弟キュロス2世は、配下である軍のほかに、傭兵団も多く雇用します。
その傭兵団の一つを率いるティマシオンという男が主人公にあたり、ゲームは彼の視点で進んでいきます。

大軍の中の一部隊という立ち位置

まず独特なのは、主人公の部隊がキュロスの大軍中の一部隊でしかないという点です。
「ファイアーエムブレム」などの主人公たちとは違い、全軍の指揮をして率いているわけではなく、中間管理職のような立場の主人公です。
しかも主君に仕える兵士と言うわけではなく、金で雇われた傭兵という立場です。
雇い主であるキュロスからも、目的や真意を事細かに伝えられているわけではありません。
そういった立ち位置の主人公はなかなか新鮮で、面白いと感じました。
同じような立場にあるキャラクターが主人公の作品は、商業用ゲームだと「ベルウィックサーガ」のリース王子が、若干似ているかもしれません。

ステージの特徴


ほかに独特なのは、ゲーム中の攻略ステージについても同様です。
NPCの数が非常に多く、プレイヤーが動かせるのは指揮権がある一部のユニットだけです。
これにより、主人公たちが「大軍の中の一部隊」であることを強く感じさせる内容になっています。
時にはNPCの進軍と歩調を合わせながら進軍したり、時には協力して包囲網を形成したり、他部隊との呼吸を合わせることが重要になってきます。
NPCも決してやられ役ではなく、頼りになる戦力が多いです。
シミュレーションRPGで、プレイヤーが集団の中の一部隊であるという感覚を強く意識させられる作品はあまりプレイした経験がなく、そういう意味では画期的な作品だと思いました。

集団戦の雰囲気

ユニット一つ一つも集団で表現されています。
システム的には、指揮官1人だけのように表現されていますが、パラメータ名や道具の名称で、集団であるということが強調されています。
仲間を回復させるアイテムの名前が「予備戦力投入」だったりするなど、HPが兵力数を表すイメージで設定されています。
また、各ユニットはそれなりに耐久力があり、1度や2度の攻撃では倒れません。
囲まれたり孤立して集中攻撃を受けてしまうと脆く倒されてしまうのですが、防衛ラインを作って集中攻撃を受けないようにすれば、結構持ちこたえることが出来ます。

ステージのクリア条件が豊富な本作では、時間を稼いだりする戦術も必要になってきます。

難易度

ノーマルでのプレイということもあってか、難易度自体はそれほど高くありません。
大勢敵がいるように見えても、敵の指揮官の撃破やターン経過がクリア条件だったりするため、「うわぁ、こんなにたくさんの敵を倒さないといけないのか」となることはありませんでした。
ちょうど良いか、少し短く感じるくらいのマップ攻略時間です。
ただ、シミュレーションRPGに慣れていない人だと、少し難しく感じる部分はあるかもしれません。
強いユニットはいますが、単騎での無双はあり得なく、常に集団戦を意識した采配が求められます。

 

感想(軽いネタバレあり)

ストーリーもゲーム部分も、非常に楽しくプレイすることが出来ました。
最初は情勢などが分かりにくいこともありましたが、プレイしていくにつれてのめり込んでいきました。
用語集や人物紹介ページや、現在地が分かる地図なども細部まで丁寧に作られており、作者の強いこだわりと愛を感じます。

一から創作しなくても、実際の歴史に、こんなにも面白いシミュレーションRPGの題材があるのだなぁと感動しました。
「黒幕の邪神を倒しにいく」などといった、シミュレーションRPGの終盤にありがちな展開などは一切無く、目的が変わるのは序盤の一度だけです。
それ以降は、一貫してたったひとつの目的を目指して進軍していくため、物語を牽引する軸になっていました。

普通のゲームなら、クリア後の余韻に浸りたいときは、他にクリアした人の感想記事などを探します。
しかしこのゲームは実際の登場人物などが多いため、Wikipediaなどで語句や地名など色々と調べて、脳内で補完するのが楽しかったです。
このゲームをプレイしたことがきっかけで、登場人物の1人であるクセノポンの著書「アナバシス」を購入してしまったほどです。

キャラクターについては、敵も味方も魅力あるキャラクターが多かったです。
しかし主人公のティマシオンよりも、アルキステネア&オルレーラの騎馬系女子コンビのほうに華があると感じました。
また、トルミデスやソファイネトスなど、味方に有能な人材が多くおり、だからこそ長い旅路を生き抜くことが出来たのかなと思います。

他に、一緒に戦うおっさん達が非常に強く頼りになるため、とても好きになりました。
しかし戦争の厳しさゆえ、死ぬときはあっさり死んでしまい、「ああ、もうこの人たちとは一緒に戦えないんだな」という喪失感が大きかったです。
たった一行の文章で「戦死したそうだ」と片付けられる寂しさは、他のゲームではなかなか感じられません。

 

まとめ

史実をもとにしたストーリーと、集団戦を強く意識した個性的なシミュレーションRPGです。
歴史ものの作品が好きな人には、非常にオススメできるゲームです。
興味がある方はプレイして損はないと思います。

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