目次
前書き
先日から「競技かるた」を題材にした少女漫画「ちはやふる」を読んでいました。
いつも利用している電子書籍サイトで3巻まで無料になっていたのをきっかけに読み始めました。
2022年3月時点で既刊48巻で、まだ完結していない上に巻数が多いので、正直どうしようかなと迷いました。
しかしとりあえず無料の3巻まで読んでから判断すればいいやと思い、軽い気持ちで読み始めました。
(追記:2022年12月時点、全50巻で完結しています。)
本作のタイトルは何回か耳にしたことがあり、アニメ化や映画化していることは知っていたので、面白いんだろうなとは思っていました。
読んでみるとやはり面白く、50冊近い量をどんどん読みたくなってしまう内容でした。
電子書籍サイトによくある「〇〇巻まで無料」というキャンペーンは「この巻まで読ませればハマらせられるだろう」という、売る側の戦略が見え隠れしています。
この手法は、読者側にはありがたいものだと思います。
売る側が「ここまで読ませればハマってくれるだろう」というところまでは読ませてくれるわけなので、そこまで読んであまり興味をそそられないなら、自分に嗜好とは合わないのかなと検証することができるからです。
僕の場合、その手法でハマるパターンの方がが多いのですが、今回の「ちはやふる」でも同様にハマってしまいました。
本記事ではその内容や面白さについて、さらっと紹介していこうと思います。
作品概要(序盤のストーリー)
「ちはやふる」は、講談社発行の女性向け雑誌「BE・LOVE」に2008年から連載されている漫画です。
wikiによると「BE・LOVE」は、2006年時点で30代~40代の女性読者が多く、2020年時点では40代~50代の女性読者が多いようです。
そのためか、本誌はストーリー性を重視した作品が多く掲載されている特徴があるそうです。
「ちはやふる」は、小倉百人一首を使用する競技かるたを題材にした作品です。
作品はまず、主人公の綾瀬千早(あやせ・ちはや)の小学校時代から始まります。
幼馴染の真島太一(ましま・たいち)が、福井からの転校生・綿谷新(わたや・あらた)をイジメているところから物語は始まります。
正義感が強くまっすぐな性格の千早は新を助けて一緒に遊びます。
新は千早にかるたで遊ぼうと提案し、新のかるたの強さを目の当たりにします。
新の祖父は競技かるたの名人であり、新自身もまた名人になることが夢なのでした。
かるたを通して、なんやかんやで太一は新に謝罪をし、3人は仲良くなっていきます。
しかし新は小学校卒業と同時に福井に戻らなくてはならなくなってしまいます。
千早・新・太一の3人はチーム「ちはやふる」を結成して大会の団体戦に臨みますが、ほろ苦い敗北を味わいます(そこでの対戦相手には、後のライバルや仲間となる面々が登場しています)。
「競技かるたを続けていればいずれまた会える」と再会を約束し、新は福井へと帰っていきます。
時は流れ、千早は高校で太一と再会します。
まずは太一と一緒に、競技かるた部の設立を目指しながら物語が進んでいくことになります。
作品の特徴・感想(ネタバレなし)
「ちはやふる」は、少女漫画というカテゴリに分類されているものの、王道のスポーツ青春モノという印象を受けました。
確かに絵柄は少女漫画らしい美男美女が多く登場し、主要な登場人物3人についても、三角関係になりそうなお膳立てが整っています。
しかし、主人公の千早の人間性もあってか、恋愛絡みのエピソードはほとんどありません。
主人公の千早は容姿端麗ではありますが、かるたバカ(誉め言葉)であり、行動原理はかるたが上手くなりたいというものがほとんどです。
高校生になっても小学生のような純粋なままであり、恋愛のような複雑なことは考えられなさそうな節があります。
千早以外についても、恋愛絡みの話にあまりページは割かれず、純粋に競技かるたを中心とした描写が中心です。
ただし注意深く読んでいると、大会でのクライマックスや決着時に読まれる歌は、現時点での恋の行方を暗示するようにな歌が読まれているように感じます。
その歌の意味や背景を知っていると、作品がより楽しめるようになっている仕掛けだと思いました。
23巻をターニングポイントとして、一時的に恋愛要素が絡むようにはなってきますが、あくまで「競技かるたを描く」という作品の軸はブレていないという印象です。
百人一首自体は知っているものの、競技かるたについては詳しくは知らないという人は多いと思います。
野球やサッカーと比べるとメジャーな競技ではありませんが、それらと比べても遜色ないエキサイティングさを持つ競技だと感じました。
1000年以上も昔の人が詠んだ歌の意味が、現代人の我々に何となくであっても伝わるというのは単純に凄いことだなと感じられます。
本作中で歌の意味や内容についてまで触れられる歌は限定的ですが、一首一首に色々な情景が込められています。
これを機に、自分が何となく惹かれるお気に入りの一首を探してはいかがでしょうか。
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心に残ったセリフ・名言集(ネタバレ注意)
「ちはやふる」では、印象的なセリフが数多く登場します。
特に誰もが真剣に勝負している大会中では、すべてが名言と言えるほど紹介したくなるセリフが登場します。
セリフを読んで思わず涙してしまったシーンも少なくありません。
特に印象に残ったセリフや、そのシーンに関連する感想などを書いていこうと思います。
内容については、巻数を読み進めていくごとに随時更新していきます。
1巻
「あたし これが初めての賞状なんだ」
小学校でのかるた大会で敢闘賞の賞状を貰った際の千早の言葉です。
新も太一も賞状に興味はなさそうでしたが、症状を初めて貰った千早にとっては特別な意味があったのでしょう。
純粋な笑顔を見せる千早に、新と太一も何とも言えない表情をしているのが印象的です。
ただその後、姉の話題ばかりで誰も賞状を気にしてくれないシーンは心に刺さりました。
2巻
「何で泣くんや すごい 楽しかったが…」
団体戦で負けたことにより、3人でかるたをやれる時間が終わってしまったことが悲しくて泣いてしまった千早に、新がかけた一言です。
自分が好きなかるたに本気で取り組んでくれた千早と太一に対して、少し照れ臭そうに慰める新の表情が印象的でした。
「青春全部懸けたって強くなれない? まつげくん 懸けてから言いなさい」
原田先生が太一にかけた言葉です。
今後何回も太一が思い出す言葉で、それだけ心に響いた言葉なのだと思われます。
努力の人・太一にとっては呪いの言葉とも言えるでしょう。
後に判明しますが、青春どころか45年も懸けている原田先生の言葉だからこそ重みがあります。
3巻
「仲間にするなら ”かるたの天才”より 畳の上で努力し続けられるやつがいい」
机くんこと駒野君を太一が口説いたときのセリフです。
才能溢れる千早に対し、地道な努力で勝利した太一だからこそ言えるセリフです。
机くんが黙々と努力し続けられる人間だと見抜いていたのでしょう。
彼をはじめとするチームメイトが成長していく様子も、本作の大きな見所の一つです。
4巻
(生きがいは娘の活躍のスクラップ!!)
姉の千歳が注目されがちな綾瀬家ですが、父親は千早の活躍にもちゃんと気づいて、密かにスクラップにしていました。
何となく、両親はあまり千早を気にしていないのかなと思って不安になっていましたが、そんなことはなくて安心したのを覚えています。
「校長室前のケースのいちばんいいところに飾りましょう 大事なトロフィーなんだから」
かるた部をお遊びのように思っていた宮内先生が、真剣に励む部員たちの練習姿を見て考えを改めるシーンです。
努力の末に勝ち取ったトロフィーだと知り、ちゃんと敬意を払うのが宮内先生の良いところです。
5巻
「悔しい 悔しいよな じゅ…準優勝がいちばん悔しい…」
太一が、準優勝はよくやった方だと自分に言い聞かせて、チームメイトに微笑みかけようとしたときに、肉まん君こと西田君が絞り出すように出した言葉です。
自分のことのように悔しがってくれるみんなに、太一自身も自分の感情を誤魔化し切れず涙してしまいます。
このシーンを読むと、僕も必ず涙が出てきてしまいます。
その直後の太一の独白(泣くな おれはまだ泣いていいほど懸けてない ”悔しい”だけでいい)も心に刺さります。
7巻
「やりたいことを思いっきりやるためには やりたくないことも思いっきりやんんあきゃいけないんだ」
テスト前に勉強から抜け出した千早に対して机くんが放った言葉です。
学年1位でなくなったらかるた部を辞めさせられる太一のことを知っているからこそ、千早に対して厳しい言葉が出てしまうのでしょう。
さすがの千早も机くんの真剣さに何かを感じ取りしおらしくなります。
8巻
(ユーミンのかるたは他の選手よりすこしだけ丁寧ですこしだけ正確
その『すこしだけ』を手に入れるのがどれだけ大変か ここにいる人間ならみんな知ってる)
元クイーン山本由美選手について評する肉まん君の心のセリフです。
顔もかるたも地味なユーミンですが、同じ競技を続けている者同士にはよくわかることなのでしょう。
どんな競技にも言えることですが、実力の差が縮まっていくトップ層では、その「すこしだけ」の差がとてつもなく大きいのでしょう。
プロ野球での打率だって、打率.250と打率.300では、100打席でヒットを5本多く打つだけですが、その5本を打つのがどれだけ大変なのか、プロ野球選手ならみんな知っているのでしょう。
9巻
(強欲 こんな欲深い人間見たことねえー)
今一番重要なのは太一がA級になることと言いながら、目標は高校選手権団体戦優勝、個人戦各階級優勝、1年生教育にも力を入れて北央学園のようなかるた強豪校になる、と言い放った千早に対してみんながズッコケたシーンです。
嫌なムードが続いていた流れの場面だったのですが、千早の天然さでその雰囲気を吹き飛ばしてしまいます。
その後に続く太一の心境(こんなに欲張りな人間 見たことない こんなにかるたが好きな人間も―)が特に印象に残ります。
「ずうっとずうっとわからない わからないから やるんだよネ」
菫に対して原田先生が言ったセリフです。
その道を極めようと突き進んでいる人ほど、その競技が分からないと言っている気がします。
どんなものにも普遍的に通じる言葉だと思います。
「もう一人部員がいてくれたたって毎日思ってた 毎日思ってた
やっと来てくれた 二人も残ってくれた 絶対放っとかない」
菫なんて放っておけと言われた千早のセリフです。
大好きなかるたの大会を自分が終わらせてしまったという責任もずっと感じていたのでしょう。
しかしそういった責任感云々というよりは、シンプルにかるたに興味を持ってきてくれた後輩が嬉しくて、友達を増やしていきたいという気持ちなのでしょう。
10巻
「おれもあるから……チャンスもらったことがあるから」
筑波君に対して机くんが言うセリフです。
先輩になってからの彼は、やたら格好いい言動が目立つ大人のキャラになっていきます。
根がしっかり者で真面目だからこそ、後輩の気持ちを慮ることができるのでしょう。
「すごいねえ 太一の強いとこはお母さんがつくったんだねえ」
(千早 おれはいろんなものでできているよ おまえだってそうだろう?)
千早に言われた後、ヒョロ君を意識して思った言葉です。
太一の強いところは母親だけでなく、千早や新、そしてヒョロたちと、色々な人たちで出来ているということがしみじみと感じられます。
「大将が大将と当たって… 副将が副将と当たって…それで勝たなくてどうすんですか」
コミカルでスネ夫的言動が目立つヒョロ君でしたが、このころから熱く変わっていきます。
メインキャラではありませんが、太一とライバルとしての奇妙な友情関係も見所です。
11巻
「本当に高いプライドは人を地道にさせる 目線を上げたまま」
北央の強キャラ・須藤さんに対する顧問の教師の評です。
どんなことにも通ずる、真の「プライド」について最も的確に表している言葉ではないでしょうか。
物事を極めるためには、足元に目を向けて進んでいくのではなく、目的地がある上を見ながら地道に山頂へと歩いていく登山のようなものなのだと感じる言葉でした。
「ち は やぶる――」
(4人全員が取ったシーン)
それぞれが色々な積み重ねを経て成長してきたということが感じられる見開きのシーンです。
作品名でもある「ちはやふる」の札をターニングポイントに、一気に試合の流れを変えていくのは心憎い演出です。
(運命戦は 運命じゃない 運命じゃない)
何度も不運に泣かされてきた太一が、自分の攻めの姿勢で運命を切り開いたシーンです。
太一の決して諦めない気持ちが呼びこんだ勝利だと言えるでしょう。
「楽しかったねぇ いままでで一番楽しかったねぇ」
(今までで一番楽しかった 一番悔しかった)
負けて悔しがっているチームメイトたちとは違い、最後までかるたを楽しみ切ったという様子の千早のセリフです。
しかしその後時間差で悔しさがやってきて泣いてしまいます。
小学校の最後の大会で負けてしまったときのすぐ泣いてしまったシーンと対比になっていると感じます。
12巻
「この負けはかるたの負けだっ かるたで取り返します!」
山口美丘高校のクイズ研・中山君のセリフです。
あくまでクイズの練習のためのかるたのはずでしたが、いつの間に涙を流すほどかるたに真摯に向き合っていることが感じられます。
どうでもいいもののために人は悔しさで涙を流さないはずです。
18巻
(勝てなくっても力の限り削ってやった おれの仲間の誰かが勝つ 見てろよ‼)
格上の須藤と最後まで粘って戦った肉まんくんの心の中のセリフです。
「個人戦は団体戦」という原田先生の言葉通り、仲間たちのために最後まで疲れさせたやったという彼なりの意地が熱いです。
須藤も実際、去年とは違う彼の粘りに手を焼いています。
21巻
「私は白波会のみんなに助けられて戦いたいんだ 助けられた方が強くなれるんだ‼」
何年たっても挑戦を続ける原田先生のセリフです。
1人でかるたを続けていたわけではなく、何人も育てて慕ってくれている教え子も含めて原田先生の強さだと言えるでしょう。
みんなが自分の強さの一部だと分かっているからこその言葉だと思います。
23巻
「手に入れたいものほど手放すの 必ず取ると勝負に出るの」
この後の新のセリフから、ようやく恋愛要素が姿を見せ始めます。
この千早のセリフは、純粋にかるたのことを話しているのだと思いますが、意味深に捉えてしまいそうになります。
すなわち、遠くに離れている新こそが千早の手に入れたいもので、必ず手に入れるというように感じたのかもしれません。
それがその直後の新のセリフに繋がったとも考えられます。
25巻
(まあいい 誰か若い者が今日のことを役立ててくれるだろう)
名人にあと一歩まで迫った原田先生の心の中のセリフです。
私も若かったらよかったな、と心の中で言っていますが、年齢を重ねてきたからこそここまで来られたのだと思います。
「私くらいの歳になると 若い人の立ち止まりは種を埋めてるようなものだと思えるのよ」
山城今日子さんから元クイーン猪熊さんへのセリフです。
産休と育休のためかるたから離れるので、戻って来られるかどうかは・・・と話しますが、上のセリフで再帰を促します。
この言い回しは含蓄があって素敵だと思います。
本人からすると立ち止まって何も成長できていないことに焦りや諦めを感じていても、上の人から見れば、また挑戦するために準備しているように思えるということでしょう。
26巻
「先輩も 好きな人に好きって言ってください 言ってください」
筋の通った恋愛体質の花野さんだからこそ言えるセリフです。
好きな人だからこそ、その人が自分ではない人を好きなのだとしても応援するのでしょう。
このようなセリフを最高の笑顔で言えるなんて、一体何者なのでしょうか。
その直後の涙は誰にも見せないという健気さも切ないです。
ひょっとすると主要人物の中で「好き」ではなく「愛」に目覚めた最初の人物ではないでしょうか。
本作では多くのキャラの成長が描かれていますが、彼女もまた大きく成長した姿が描かれるキャラです。
28巻
「勉強すればするほど 本は 言葉は 文字は こんなにはいらないなぁって…」
思わず先生も驚く境地にまで到達してしまった千早のセリフです。
かるたという、たったの数音でその場の世界が変わる競技に励んでいた千早にとって、本などに書いてある文字数は多すぎると感じているのでしょう。
何だかハッとさせられる言葉です。
「言って欲しい言葉をくれる人間に 人は簡単に操作されるよ そんな簡単な人間になるな」
すっかり先輩の立場が板についた机くんが田丸に言った厳しくも優しいセリフです。
人間誰しもちやほやされたい気持ちが多少はあるわけですが、「お前はそんな薄っぺらい言葉が欲しいのか?」と問われているように感じたセリフでした。
29巻
「『才能』があるやつは 火がつくまでが早い でも それだけ
火の強さや 燃え続けられる時間を保証はしない」
周防が太一に言ったセリフです。
本物の天才としか言いようがない周防が言う言葉だからこそ、凡人である太一には何より響いたことだと思います。
月並みな言葉かもしれませんが、努力し続けられるということこそ、太一の才能なのかもしれません。
33巻
「肉まんくんの毎日は 瑞沢を強くしてくれる毎日だった きっと下の子たちに残る」
新を目の前にしたときだけ勝ちたいと思う自分が情けなくなってしまった肉まん君に対して、千早が言ったセリフです。
確かに後輩にアドバイスして成長を助けていたのは彼のお陰だったと思います。
性格に難のある田丸でさえも、力強く「はい!」と肯定し、彼もいくらか報われたことだと思います。
34巻
「須藤さんはどんなに性格が悪くても 卑怯なことしちゃダメなんです」
普段からどこか偽悪的に振舞う須藤さんに対して千早が言ったセリフです。
周防さんがOKを出さなかった録音データを他の人から貰うことは、千早の中ではフェアではないと感じたのでしょう。
須藤さんもその想いを尊重して、渡すことはやめています。
この頃の須藤さんは千早を認め、自分と対等であると心を許し始めているような気がします。
自分も名人を目指しているということを話したのも、その信頼の表れのように感じます。
本気でクイーンを目指す千早だからこそ、須藤自身も何か感じるところがあったのでしょう。
39巻
(攪乱とかじゃなくて 小細工とかじゃなくて なにひとつ実力の削られぬ綿谷新に勝ちたい 青春全部懸けてきた 本当の強さで)
新と名人挑戦の権利をかけて決勝戦で戦う太一の心の中の言葉です。
おそらく「悪役」に徹して勝ちに執着しない戦法をとれば、太一は新に勝てたのかもしれません。
しかし、自分の頑張りを見てもらって認められたい相手を前にして、そのような紛い物の勝利では意味がないと感じたのでしょうか。
原田先生の幻影に「懸けてから言いなさい」と言われ続けた太一が、ここに来てはっきりと自信をもって「青春全部懸けてきた」と言い切るのはグッときます。
「青春全部懸けたって 新には勝てない」という自らの呪縛も断ち切る展開は熱いです。
40巻
「ほかのなんでもおれよりできたのに やったことないこと… おれが得意なこと… こんなに長くやって こんなに強くなるまで努力して
どんな顔しておれが 太一のこと邪魔やって思えるんや…
かるたを一緒にしてくれて ありがとな」
太一との勝負が終わった新のセリフです。
かるたを好きなわけでもない太一が、自分を負かすほどにまで努力してかるたを一緒にやってくれたことに対して、素直に感謝するセリフです。
この言葉を受けて、太一の想いも溢れてきます。
(札を さっき札を並べたとき 生まれて初めて札が愛しかった
友達を 先生を 懸けるべき青春を この時間をくれたかるたが愛しかった)
かるたを始めたのは、千早の気を引きたかったとか、新に対しての対抗心からだったのかもしれません。
しかしここでようやくかるたが好きになったことに気付き、ようやく3人の気持ちが繋がったように感じました。
47巻
「40年まえに戻って あなたとかるたをしてみたかった」
山城さんから周防名人への言葉です。
言葉よりも、その凄惨で不敵な表情が非常に印象的です。
おそらく全盛期は周防さんよりもずっと強かったというのが想像できる一コマでした。
48巻
(かるたをやめたくなるような強さがあるなら かるたを続けたくなるような強さだってあるはずだ)
太一の心の独白だと思われます。
才能に恵まれた周防さんの強さが、対峙した人をやめたくさせるような強さだとするならば、千早の強さはその逆なのでしょう。
才能があるように見えて、千早の強さは努力に努力を重ねてきた結果のものです。
そういう強さが、自分もいつかはそうなれるのではないかと思わせる強さなのでしょう。
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