アキトDATE ショート ~10%の悪意~(フリー・推理アドベンチャー)紹介・感想

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フリゲサイトで見かけた「”本格”推理ADV」というキャッチコピーに惹かれプレイしたADV「アキトDATE ショート ~10%の悪意~」に関する記事です。

推理ゲーム制作チーム「FBI」様が製作された「アキトDATEシリーズ」のショート作品として出されたものが本作ということのようです。
僕は本作で初めてこのシリーズを知ったのですが、とても面白かったので別の作品もプレイしてみようと思っています。
クリア時間は約3時間でした。

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ふりーむ!

フリーゲーム夢現

ゲーム概要+感想(ネタバレ無し)

金欠の大学生・伊達秋人(だて あきと)が、高校生・牧双葉(まき ふたば)に喫茶店に引っ張って連れて来られ、友人・泉まゆかのことで相談しているシーンから物語が始まります。
(秋人と双葉は別の事件での知り合いのようですが、連絡先を知っているほどの関係ではないようです)
双葉の頼みとは、まゆかがテスト問題を盗み出したという疑いを晴らして欲しいというものでした。
その場に生徒会の人間が合流しても、あまりやる気が出ずに話を聞いていた秋人でしたが、証言を聞くうちにいくつかの疑問点が浮かんでくるのでした。

本作は推理アドベンチャーですが、殺人事件のような血生臭い題材ではありません。
いわゆる「日常の謎」系の事件を、移動することなくその場で解決する安楽椅子探偵タイプの作品です。
他のシリーズでは殺人事件を題材にしたり現場の移動もあるということなので、「ショート」である本作はそういったものがなく取っつきやすい言えます。

さて、本作は基本的に文章を読み進めて行くことでストーリーが進んでいきます。
ストーリーの要所では推理パートが挟まれ、そこではプレイヤーが考えることになります。
問題に対して、カード化された証拠品や事実を選択することによって先に進むことができます。
不正解してしまうと「自信度」ゲージが減少していき、それが無くなってしまうとゲームオーバーとなります。
ただし間違えるたびに新たなヒントが貰えますし、最後は秋人に任せることもできるので、詰まることは実質的にないと言えるでしょう。
二つのカードを選ぶ場合は組み合わせパターンが多いため、総当たりで正解を探すのは難しいです。
そのため、きちんと考えて選択することが必要です。

推理モノにはよくあることですが、話す内容を厳密にしようとこだわるキャラクターが多いので、少々回りくどい言い回しが多く感じることがあります。
しかし、これこそが探偵モノの会話の作法と呼ぶべきものと思うので、個人的には好きです。

本作の最も大きな特徴は、使用されているグラフィックの多さとその質です。
ゲーム画面に表示されるグラフィックは使い回しがほとんどなく、とても贅沢な使い方となっています。
一枚絵の中でも差分が豊富で、キャラクターの動きが細かく表現されています。
絵柄が元々アニメ調で描かれていることもあり、アニメを観ているような錯覚を覚えるほどです。
どんなゲームなのか少しだけプレイするつもりが、結局最後までプレイしてしまうほど引き込まれてしまいました。

僕の好きな推理ゲームで、1999年に発売された「クロス探偵物語」というPSソフトがありました(1998年の発売当初の媒体はセガサターン)。
豊富なグラフィックと質の高いシナリオで、当時熱中してプレイしていました。
「クロス探偵物語」の主人公も見た目が平凡でしたが、本作の主人公・伊達秋人も凄そうな人物には見えません。
秋人のように、髪を染めてタバコを吸って粗野な口のきき方をする金欠の大学生などは、初めて会う人物には胡散臭く見えることでしょう。
秋人自身、自分を良く見せようとする気持ちが無いため、よく知らない人からは低く見られてしまいます。
そんな秋人が鋭い洞察力と推理力を発揮し、周囲の見る目が少しずつ変わっていくのが実に気持ち良いですし、とても格好良いと感じます。

本作はショート作品なので、推理アドベンチャーとしては少し物足りないボリュームかもしれません。
しかし僕のように「アキトDATE」シリーズを初めてプレイする人でも、気軽に楽しめると思います。
フリーゲームとは思えない圧倒的なクオリティを持つ作品なので、少しでも興味を持った人はプレイしてもらえればと思います。

感想(ネタバレあり)

無事、最後までクリアできました。
もっとも、途中の推理を間違えても進むことは可能なので、詰まる人はいないと思います。
この項目では本作をプレイして感じたことなどを、思ったままに書いていきます。
本項はネタバレ要素があるため、プレイ前に読んでしまうと楽しさを半減させてしまう恐れがあるので、ご注意ください。

 

最後の推理パートは思うように正解を出せず、かなり苦戦しました。
実を言うと初回プレイでは秋人に任せてしまい、自力では正解できませんでした。
一度クリアしてからだと正解を選べましたが、やはりある程度真相が分かっていないと、似たカードが多くて選択が難しいと感じました。

最初にプレイしているときは、クドケンが不注意で問題を流出させたものだと思っていました。
まゆかを犯人に仕立て上げ、証拠等も捏造したのだろうという考えです。
本当に最後の最後までそう思っていたのですが、推理パートで秋人に協力的になっていく様子を見て、「あれ?何だかシロっぽいな」と感じるようになっていきました。

今回の公開範囲では、結局誰が犯人なのかはっきりとは明かされませんでした。
しかし解決後のやり取りを見るに、霧島副会長が怪しいと思いました。
校門前で水城会長は霧島に「なに。世の中には、悪い魔法使いもいるという話だ。」という発言をします。
魔法使い(=ウィザード)という言葉はハッカーを表す俗語です。
水城が霧島にわざわざこういう言葉をかけるということは、霧島がハッカー級の腕前を持っており、今回の事件に何らかの形で絡んでいることに気付いているのではと推測します。
霧島がその後に「……まあ、そう言う自分も大概なんですけどね。」と自嘲気味に呟くのも意味深です。
この辺りの真相については、シェアウェアとして公開予定のオマケ部分で明かされるのかもしれません。

僕は「アキトDATE」シリーズをプレイしたことがなかったのですが、今回の作品で出会うことができて幸運でした。
今後、シリーズ作品を順番にプレイしていきたいと思っています。

そのほか、本ブログで紹介しているゲームをまとめた記事はこちらです。
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