僕はシミュレーションRPG(以下SRPG)の作品が好きで、コンシューマー作品やフリー作品、ともによくプレイします。
多くの作品をプレイをしていると、その中でも特に面白いと感じる作品が出てきます。
なぜ自分が面白いと感じたのかという点について、少し掘り下げて考えてみようと思います。
いちプレイヤーのつぶやきとして、読んでいただければ幸いです。
何を面白いと感じるのかは、プレイヤーの数だけ感覚があるものだと承知していますので、本文の主語は、すべて僕自身と考えてもらえれば結構です。
(反論しないでほしい、という意味ではありません)
目次
面白さの種類について
自分が面白いと感じるSRPGについて、何が面白いのだろうと考えたとき、大きく分けて2つの面白さがあると思いました。
1つは「ゲーム部分」に関しての面白さで、2つ目は「ストーリー部分」に関しての面白さです。
前者は、実際にプレイヤーが操作して遊ぶ部分のことです。
SRPGで言うなら、ステージを攻略している部分や、出撃準備等をしている部分などが当てはまります。
後者は、作品の世界やキャラクターの設定、シナリオ、セリフなどの部分です。
ステージとステージの間のシナリオ進行や、ステージ攻略中のイベント、セリフなど、主に読むだけの部分です。
ゲーム部分の面白さについて
前述したように、SRPGのゲーム部分というのは、ユニットを操作してマップを攻略していくパートと、ユニットの育成が大きな割合を占めると思います。
作品によって、ほかの要素も加わることもありますが、メインはこの2点ではないかと感じます。
SRPGというゲームの核は、ユニットをマスの上で駒のように動かしていき、敵を倒していくという部分です。
その部分についてはどの作品も同じなので、面白いかどうかというより、「ストレスに感じる点があるかどうか」が重要であるように感じます。
ステージ攻略の部分
ステージ攻略の面白さについては、難易度の「ちょうど良さ」が重要だと感じます。
しかし、どういった難易度をちょうど良いと感じるのかは、プレイヤーのレベルにもよるため、調整が難しい部分だと思います。
最近では、全体的な難易度を選択できる作品も増えてきているため、ある程度はプレイヤー自身で設定することができます。
そうはいっても、すべてのプレイヤーが快適なバランスで遊べるというのは難しく、一定数のプレイヤーは弾かれてしまうのは仕方ないと思います。
そのため、作品全体の難易度をある程度の範囲に統一しておいたり、突出して難しいマップは救済手段を準備しておくなどの配慮が必要かもしれません。
そうすれば、ステージ間で難易度に大きな差が減り、難易度選択による全体的な調整が生きてくるのだと思います。
ゲームが難しすぎるとストレスが溜まりますし、簡単すぎても作業的になってしまいますし、ここはさじ加減が難しい部分だと思います。
作品のコンセプトにもよりますが、「少し難しい」という状態がずっと持続するような作品だと、ついつい熱中して面白いと感じます。
(「ランディアX」より)
そのほかの要素で面白いと感じる部分は、ステージに仕掛けられたイベントの豊富さなどです。
たとえば、ターンが進むにつれて様々な状況変化があると、そのマップで何が起きるのだろうとワクワクして飽きにくくなります(「Hero’s Road」、「Hero’s Shadow」など)。
時間経過で増援が出現するなどは典型的な例で、逆に味方の友軍が登場したり、天候の変化によって特定の攻撃手段が弱くなるということなども、面白い仕掛けです。
イベントがあまりに詰め込まれていると、雑然としてしまうかもしれませんが、個人的にはワクワクして楽しい部分だと思います。
他に思うところとしては、同じ攻略方法が毎回通用してしまうと、少し作業的になってしまうと思います。
力と守備力が高いユニットでゴリ押ししていれば良いという作りではなく、時には飛行ユニット、時には魔法ユニットが必要になるというように、色々なユニットが適度に役立ち、意味があると退屈しないイメージです。
また、マップが不必要に広かったりすると、味方ユニット全員の移動だけをする操作が多くなり、作業感が強くなると思います。
これを避けるために、最近ではマップはコンパクトにする流れもよく見られます(「ジゴクロン」「ランディアX」「シンプルSRPG 三日月エムブレム」など)。
結局は、プレイヤーを飽きさせないような工夫がされている作品は、新鮮な楽しさが継続するのだと感じます。
作品が長編になればなるほどイベントのパターンが重複しやすくなるため、プレイヤーを飽きさせないようにするのは大変なことだと思います。
「王都騎士事件譚」「亡霊騎士事件譚」のように、プレイヤーが飽きてしまう前に、スパッと短編で完結させるという方法も、新しいなと感じました。
「インペリアライザー」は、ゲームシステムそのものが濃密で歯応えがあるため、慣れるまで時間がかかり、なかなか飽きがこない作りとなっているように感じます。
育成要素の部分
ユニットの育成というのも、SRPGに欠かせない楽しい要素のひとつです。
ユニットのレベルが上がって能力値が上昇したり、スキルを獲得したり、クラスチェンジをして強くなっていくのはとても楽しいです。
しかしユニット数が多いと、どうしても育てられないユニットが出てきてしまい、それがストレスになる場合があります。
この部分については色々な作品で、出撃ユニットを完全固定制にしたり、常に全員出撃にするなどして、「選ぶストレス」を解消しようという工夫が見られます。
「Yggdrasil」では、出撃させなかったユニットの強さにより「後方支援ランク」が上がり、ステージ攻略中の士気に影響する。
あるいは別のアプローチとして、出撃しないユニットを成長させられる仕組み(「Flame Espadia」)、逆に高レベルのユニットを待機させることによるメリット(「Yggdrasil」)があるなど、新たなシステムで解決をしている作品もあります。
「Flame Espadia」では、下手に出撃するより、待機させた方が育てやすい場合もあります。
好きなユニットを自由に選べることに楽しさを覚える人と、選べないユニットが出てくることにストレスを感じる人がいると思います。
どちらも良し悪しはありますが、個人的には、完全に出撃ユニットが固定だと、悩まなくて良いので楽ではあります。
しかし、ルート分岐などで周回プレイを想定している作品であれば、前回育てなかったユニットを育てる楽しみもあるので、どちらも長所と短所があるようです。
ストーリー部分の面白さについて
ストーリー部分の面白さとは、物語の展開や、魅力的なキャラクターなどの部分です。
仮にゲーム部分が際立っていなくても、ストーリー部分が面白ければ、面白かったという印象になると感じます。
物語の展開の面白さ
面白いストーリー内容というのは人によって異なるのですが、僕が面白いと感じたSRPGを分析すると、物語の引っ張り方や展開に特徴があると感じます。
(「久遠の彼方」より)
たとえば、物語を牽引する「謎」があると、どんどん先を知りたくなって熱中度が高まるのは、どんな作品でも同じです。
謎の軍団に祖国が滅ぼされたのなら、その軍団の正体や目的などは、物語の「引き」になるでしょう。
急に異世界に飛ばされてしまったのなら、その世界が何なのか、何故飛ばされたのかという謎も、序盤を引っ張る「引き」になります。
ミステリー作品が、いつの時代も根強く受け入れられるのは、「謎の提示と解決」というワンセットのカタルシスが、多くの人に受け入れられているからなのでしょう。
また、主人公たちが覚醒し新たな力に目覚めるという展開や、敵として戦った相手と協力する展開なども、ベタですが非常に引き込まれて熱くなります。
大ヒットしている漫画やアニメ作品を改めて見直すと、大なり小なりそういった展開が見られます。
したがって、お約束な展開であっても、その展開に納得できる理由がしっかり作られているなら、全く問題ないと思います。
「グレイメルカ」は、ストーリー部分のボリュームが大きく、とにかく先の展開が気になって止まらない作品です。
物語がどんどん動いていく展開も、面白いと感じます。
ストーリーの最終的な着地地点がプレイ当初は見えないものの、当面の目的が変わっていくことで、物語が展開していき、新鮮さが持続するという面白さです。
たとえば「A国に援軍を求めに向かう」という目的があり、途中でそれを妨害するB国軍との戦いや、山賊との遭遇戦があるとします。
数戦こなした後、「A国がすでに滅ぼされてしまった」ということが判明し「それなら次はC国へ向かおう」というように変わるような、そういう展開だと、物語が動いている印象になります。
A国へ向かっている途中に、頻繁に遭遇戦ばかりが挿入されると、邪魔ばかりされて物語が進んでいると感じられず、テンポが悪く感じられてしまいます。
「目的の達成」と「新たな目的の設定」が適度な頻度で行われることにより、物語のテンポの良さが発生するのではないでしょうか。
ただし、登場人物たちの行動原理が納得できるものでないと、展開にご都合主義的な印象を受けてしまうこともあります。
ゲーム部分が楽しい作品であるなら、戦闘マップが頻繁に挟まれても、あまり苦にはなりません。
戦闘そのものが面白いわけですし、ユニットも育成できます。
しかしストーリー面で勝負している作品であるなら、物語が展開し、目的の達成と変化がなければ、話がなかなか進まないという印象を受けてしまいます。
魅力的なキャラクター
作中に、魅力的な登場人物がいると、それだけでも物語が面白くなると感じます。
強烈な個性を持った人物が、物語内の事件に対して、どのように動いて解決するのか、という動きを見ているだけで面白いものです。
「グレイメルカ」は、敵味方で数多くの魅力的なキャラクターが登場するSRPGです。
僕は創作者ではないので、魅力的なキャラクターの具体的な生み出し方はわかりません。
しかし自分が魅力的に感じたキャラクターを思い起こすと、いくつかの特徴は見受けられます。
「強くて頭が良く、思想や考え方に一貫性と個性があり、何らかのギャップ要素を持っている」という特徴です。
もちろん例外はありますが「強くて頭が良い」という部分は、割と共通していると思います。
作風にもよりますが、登場人物の強さや頭の良さについては、プレイヤーを納得させられる説得力がある描写がないと、興ざめさせてしまうことがあります。
「強くて頭が良い」と設定するのは簡単ですが、それをプレイヤーに納得させるように描写するのは、テクニックが必要だと思います。
ストーリー上での強キャラが、ゲーム上でも強いユニットとしてパラメータ設定されていれば、それだけで割と説得力を持たせられるので、その点はゲームという媒体の利点だと思います。
また、キャラクターを好きになってしまえば、そのキャラクターがどういう結末を迎えるのか知りたい一心で、どんどんプレイしていきたくなります。
それが悪役であるなら、どのような報いを受けるのか、怖いもの見たさ的な興味が持続していきます。
僕は悪役が主人公の作品も結構好きなのですが、それは最後にどうなるのか見届けたいという好奇心が理由なのだと思います。
その他の要素
ストーリー部分とゲーム部分の他に、面白さに関わる要素があるとすれば、グラフィックやBGM、ユーザーインターフェースだと思います。
しかし僕は、これらを調味料のようなものだと思っています。
作品という素材を美味しく引き立てる役目はありますが、素材そのものがよく出来ていないと、十分に効果を発揮しないものだと思います。
豪華で目を惹くような見た目であれば、プレイしてみようと思わせる誘引力は強く、プレイヤーの絶対数は多くなると思います。
しかし、それに伴った内容の面白さになっていなければ、プレイされたとしても、結局は途中で離れてしまうのではないでしょうか。
ゲーム内容が充実していて、さらにグラフィックやBGMも素晴らしいのなら、それはまさに最強の作品だと感じます。
ユーザーインターフェースについては、使いづらいとストレスが溜まりますが、仮に快適でも、細かい点なので気づきにくい部分です。
つまり、よく出来ていても加点にならないものの、出来が悪いと減点になり得る、ある意味では理不尽な部分だと思います。
ストーリーやゲーム部分と比べ、大きく差がつく部分ではないかもしれませんが、この部分が快適だと嬉しいなと思います。
まとめ
作品とは、様々な要素が合わさって成り立っているものです。
したがって今回挙げた内容は、最小公倍数的なものであり、毒にも薬にもならないものかもしれません。
しかし、一応の結論として書くならば、僕が面白いと感じるSRPGについては、以下のような特徴があると思います。
・ゲーム部分について
そのプレイヤーにとって「少し難しい」くらいの難易度がずっと続く
ステージに仕掛けられたイベントやギミックが楽しく飽きさせない
同じ攻略パターンがあまり通用しない
・ストーリー部分について
物語を引っ張る謎がある
目的が変わっていき、物語の展開が感じられる
魅力的なキャラクターがいる
・その他の要素について
グラフィックやBGMが素晴らしい
ユーザーインターフェースが快適
以上です。
この結論が出たあとに、自分の紹介記事を振り返ってみると、これらの点を称賛している内容が多いということに気付きました。
今までは作品ごとに、一から個別に感想を考えていましたが、これらの点に着目することで、今後、記事を書きやすくなるのかもしれないと感じました。
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