Ark Noir / 箱舟のノワール(リソース管理型ノンフィールドRPG)紹介・感想・攻略メモ

ゲーム
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「Ark Noir / 箱舟のノワール」は、有料のPC用インディーズゲームです。
3人の主人公の中から1人を選び、沈没する船で真相を解明しつつ、脱出するのが目的のノンフィールドRPGです。
リソース管理と「運」が物を言うタイプのゲームデザインで、繰り返しチャレンジすることが前提となっています。
プレイを繰り返して、少しずつ実績を解放していけば、少しずつ有利な初期状態でゲームをスタートすることができます。

ローグライク、リソース管理、ノンフィールドRPG、サスペンスなどのワードが気になる人は、まずは無料の体験版のプレイをお勧めします。
1周のプレイは30分くらいで、1時間もかかりません。
ですが、すべてのエンディングを見るには、繰り返し何度も周回する必要があるでしょう。
僕は、大体15周くらいして、7~8時間くらいで全エンディングを見ることができました。

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ゲーム概要


「Ark Noir / 箱舟のノワール」は、沈没しつつある移民船「ノワール」より、脱出することが目的のノンフィールドRPGです。
脱出艇のあるフロアを目指しながら、他の乗客を助けたり、沈没の原因を探っていくこととなります。
HPが0になるとゲームオーバーです。

FRについて

本作で、もっとも重要なパラメーターは「FR」(Fortune)という値です。
このパラメーターは、本作の色々なところで使用する通貨のようなものです。

たとえば、アイテムを入手するためのコンテナを発見した場合は、FRを支払ってアイテムを入手します。
FRが許す限り連続で入手することができますが、使い切ってしまうと、その後必要になった場合に困るかもしれません。


他には、乗客を助ける手段の一つとしても、FRを使用できる場合があります。
助けるために必要なアイテムを持っていないときでも、FRを使えば何とかなるかもしれません。

そのほか、戦闘から逃亡する場合もFRを消費しますし、休憩部屋でHPを回復する際にもFRが必要です。
本作のあらゆるところでFRは重要な役目を果たします。

FRは移動ごとの自然回復や、レベルアップ時のボーナス回復でしか回復する手段がありません。
急激にたくさん回復することが難しいので、計画的な使用が求められます。

Perkについて


「Perk」とは「特典」のような意味を示す英語ですが、本作での役割を分かりやすく言うなら、パッシブスキルのようなものです。
主にレベルアップした際に、ランダムで取得することができ、ゲームの難易度を左右する重要な役割を果たします。
特定のパラメータを上げるものから、特殊効果を発揮するものまで、数多くのperkが存在します。


Perkは、ゲーム中に特定の条件を満たすことで、出現が解禁されていきます。
条件に付いては、段階的に開示されるようになるので、有用なPerkは早期解除を狙っていくのが良いでしょう。

一度解禁されたPerkは、それ以降のプレイでずっと出現します。
ゲームをリスタートした際、追加できる初期Perkの数も、条件を満たせば増えていきます。
スタート時から有用なperkを付与できれば、より奥のフロアまで到達することが可能になるでしょう。

戦闘について


戦闘は、ターンごとに行動を選んでいく方式です。
行動選択前に、敵に先手を取られて行動される場合もあるので、HP残量には注意する必要があります。

敵のHPや防御力などはすべて表示されているので、こちらの攻撃でどれだけダメージを与えられるかは、事前にわかります。
相手がどのような行動をするかはわかりませんが、FRを1消費する「直感」を使用すれば、判明させることができます。
「直観」を使わなくても、Perk効果や、ランダムで相手の行動が判明する場合もあります。

戦闘での行動は、所持しているアイテムですべて規定されます。
さらに、武器・回復薬・補助アイテムなど、ほとんど使用回数が決められています。
所持しているアイテムは、そのまま戦闘力・対応力に直結するため、ピンチになっても切り抜けられる切り札を用意しておく必要があります。
この辺りは、「不思議のダンジョン」シリーズなどのローグライクゲームと共通する緊迫感があります。

アーカイブについて


ゲーム中、様々な条件を満たすことで、「アーカイブ」で資料を閲覧することができます。
作品中の設定や、キャラクターの背景がわかる内容のものが多いです。
本作は、移民船が沈没し始めるところからスタートしますが、アーカイブの資料から様々な謎の真相が推測できるかもしれません。

主人公について

主人公は、3人のキャラクターから自由に選ぶことができます。
ゲームの本筋は基本的に3人とも共通ですが、一部キャラクターとのやり取りや、辿り着けるエンディングが異なります。

アルベルトはバランス型、ブルーノは戦闘重視、カロリーヌは幸運重視と、それぞれ特徴が異なります。
解放されたPerkなどの実績は、全キャラクターで共有されています。
行き詰まったら、気分を変えて別の主人公でチャレンジしてみると、新たな発見があるかもしれません。

エンディングについて


本作の一番の目的である、ノワールからの脱出を果たせば、めでたくエンディングとなります。
ただし、途中で登場した乗客をどれだけ助けられたか、真相をどれだけ解明できたかなどによって、エンディングのランクが変わってきます。

最初から良いエンディングを目指すのはとても大変です。
周回を繰り返し、ある程度楽に脱出できるようになってから、乗客の救助などのプラスアルファ要素に手を付けていくのがよいかもしれません。

エンディング条件なども、メニューの「アンロック」から閲覧することが可能です。
色々なエンディングを見られるよう、狙いを定めたプレイを心がけましょう。

感想(ネタバレ無し)

とても熱中度が高く、歯応えがあるRPGでした。
入手できるアイテムによって戦い方を変えざるを得ないので、毎回同じように戦えるとは限りません。
有用なアイテムが手に入らない場合は、何とか手持ちのカードで凌ぎつつ、探索を軌道に乗せられるようにやりくりするのが面白かったです。

リソース管理は最初がシビアですが、周回するうちにだんだんとコツが掴めてきます。
コツが掴めてくると、プレイし始めの頃に比べて、自分の上達が感じられるようになります。
それでも、決して楽勝になるわけではないので、その辺りの絶妙な難易度のバランスが、面白さの正体ではないかと思います。
1プレイも同じ展開はありませんが、自分なりの攻略パターンが確立していけば、不思議と段々余裕が出てきます。

最初のプレイで乗客をみんな助けようとして、結局FR不足で力尽きてしまうのは、誰もが通る道だと思います。
ある程度ゲームに慣れてくると、少しずつ乗客を助けられるようになってきます。
そうなってくると自分の成長も感じられるようになるので、喜びもひとしおです。

「運」が多くの運命を握っている作品ですが、確実にプレイヤーの経験と周回の努力が生きてくる作品です。
どうにもならない場合もあるかと思いますが、その範囲内でやりくりするのはとても面白いです。
興味を持った人は、まずは無料体験版を遊んでみてはいかがでしょうか。

少し似たようなプレイ感だと感じたのは、フリーゲーム「人類滅亡後のPinocchia」です。
こちらもシビアなリソース管理と、アーカイブによるストーリー考察が面白い作品です。人類滅亡後のPinocchia(フリーRPG)感想と攻略、ストーリー考察

攻略メモ(ネタバレ有り)

主人公別の使用感

・アルバート
ストーリー的には王道な主人公という印象です。
しかしバランス型ゆえに、中途半端で使いにくいとも言えます。
アイテムの揃い方に、戦力が大きく左右されるので、コンテナで良いアイテムが獲得できるかどうかが重要です。
成長しても、ある程度戦闘には苦労し続けます。

・ブルーノ
戦闘特化なので、探索方針は定めやすいと思います。
ある程度レベルが上がれば、武器はチェーンフックだけでも十分なので、そのぶん他のアイテムをたくさん持てます。
アイテムの多寡によって、戦闘難易度がそれほど左右されない印象があります。
ATKとDEFが十分上がると、戦闘がとても楽になるということを教えてくれるキャラです。
FRは低いので、乗員救出などをこなしていくには、FRを温存していく必要があります。

・カロリーヌ
運特化型で、強力なアイテムをコンテナから引ければ、とても楽になります。
逆に、FRが潤沢にあっても、良いアイテムを引けなければ戦闘で苦労します。
「Unselfish」を装備すれば、FR回復速度がさらに高まるのでジャブジャブ使えます。
FRが溜まりやすい関係で、最終的に一番楽になるのではと思います。

序盤の周回方針

初期perkが揃わない序盤が、ある意味一番大変かもしれません。
とにかく、「初期Perkスロット+1」の実績を狙って、繰り返しプレイしていくことが重要です。
初期Perkの多さは、主人公の強さに直結します。
序盤でキーとなるアンロックは以下のものです。

報酬「初期Perkスロット+1」
・第3フロアに到達する
もっとも獲得しやすい条件です。
多少無理してでも、一度は第3フロアまで辿り着きましょう。

・すべての乗員を1回ずつ救出する
一度に全員を助ける必要はありません。
周回ごとに数人ずつでも良いので、毎回違う乗員を助けていけば、早めに達成できます。

・ノワールを脱出する
とにかく、第5フロアに辿り着きさえすれば良いので、一度は全員を見捨てて進めていきましょう。
乗員を何回も見殺しにすると手に入る「Lone Wolf」を初期Perkに選べば、ステータスがかなり上がるので達成しやすいと思います。

・犯人を告発する
真相をある程度突き止め、クリアすることが前提なので、狙えるのは割と後の方だと思います。
ここまで到達すれば、色々なことにチャレンジできると思います。

有用な初期Perk

狙うアンロックにもよりますが、基本的に有用だと感じたPerkについて紹介します。
初期Perkで存在しているものに限定しています。

・Attack Bonus 2、Defense Bonus 2
攻撃力や防御力を3上げるPerkです。
単純ですが、能力の底上げは大きいです。
DEFを上げることの方が重要なので、DEFを優先し、他に余裕があるならATKという程度で良いと思います。

・Attribute Bonus 3
ステータスを全体的に向上させるPerkです。
困ったら、とりあえずこれを付けておけば安心です。
序盤では大変大きい効果です。

・Big Bag
アイテム所持数を2増加させるPerkです。
所持アイテム数はそのまま戦力に繋がるので、付けて困ることはありません。
所持しているだけで能力値が上がる装飾品などを持っている場合、より効果を底上げできるようになります。

・Devoted
乗員を助けるごとに経験値が2もらえる初期Perkです。
全員救出を狙う際は、受けられる恩恵も大きくオススメです。

・Fast Learner
能力値が下がるかわりに、戦闘勝利の獲得経験値が50%の確率で2になるPerkです。
Attribute Bonusと組み合わせて、デメリットを相殺できるなら、後半がとても楽になります。

・Negotiator
イベント選択肢のFRコストが半分になるPerkです。
FR節約に繋がるので、不意の事態にも対応しやすく、様々な場面で役に立ちます。

探索の方針

FRはイベントでの使用を考慮して、常に11くらいはキープしていないと怖いと思います。
しかし、しばらくイベント発生がないとわかっているのなら、ここぞという場所で使い切ってしまっても良いです。
特に序盤は、アイテム所持によるステータス上昇効果も期待できるので、コンテナからは所持数の限界まで獲得してしまって良いと思います。
FRが慢性的に不足するような状況だと、やや危険な状態です。

レベルアップは、DEF>ATK>その他の順に能力値を上げていきましょう。
受けるダメージが減れば、FRの節約にもつながっていきます。
FRが温存できれば、アイテムの獲得もしやすくなりますし、良いことがたくさんあります。
戦闘でもアイテムをケチらずに、受けるダメージを最小にするように戦いましょう。

ATKがあまり成長しない場合は、ATKの影響を受けない銃器や、防御を無視できるツールで戦っていきましょう。
銃器による外傷効果や、ダートによる衰弱効果は、被ダメージを減らす有効な状態異常です。
積極的に活用していくと良いでしょう。

感想(ネタバレ有り)

ゲーム内容の大筋は、主人公3人とも大きく変わりませんが、プレイ感がかなり変わってくるので、退屈はあまりしませんでした。
主人公ごとに、特に親しい乗員が居るのも、何だかパートナーのようで面白かったです。
アルベルトはヴェラ、ブルーノはモーリス、カロリーヌはノエルといった具合です。
それぞれの主人公ごとに、物語のテーマとなるものも違い、様々な彩りを見せてくれます。

アルベルトは記者らしく、沈没の真相や陰謀の解明が主軸です。
一番王道的で、映画のようなサスペンスドラマが味わえました。
ただプレイアブルキャラクターとしては、なぜかずっと中途半端な印象がありました。
ただ、本作のバランスを一番楽しめるのは、確かにアルベルトの他にいないかなとも思います。
ヴェラとの関係は、お互い尊敬し合うライバル同士という感じで良かったです。

ブルーノは、モーリスと共に船員としての責務を果たそうとするのが表側の目的です。
実際は母エリザのため、グレンへの復讐を果たそうとする物語ですが、はっきりと語られるわけではないので、アーカイブによる推測が必要です。
ノエルだけでもアーマーを着せて脱出させようとするエンディングGは、個人的には必見だと思いました。
自分の復讐という目的よりも、小さな少女の命を救うことを優先させる決断は、ある意味では、復讐心を乗り越えられた結末と言えると思います。

カロリーヌは、妹や父親との家族ドラマがメインと言えるでしょう。
初めて見たときは、運だけで進んでいくお嬢様かと思っていました。
しかし、非常事態に適応して才能を開花させていく様は、「バイオハザード」シリーズのクレアのようでした。
エンディングでは美しく強かな女政治家というオーラが出ていました。

乗員たちにも、それぞれ個性とドラマがあり、主人公に負けず魅力的です。
特にお気に入りのキャラクターは、モーリスとギヨームです。
モーリスは、誰でプレイを初めても最初に出会う乗員で、初めて助けるか見捨てるかの決断を迫られる、思い出に残る人物です。
その実直な人柄と責任感は、ブルーノの特殊エンディングGでもよくわかります。
彼を見捨てるのは心が痛みますが、そういったことも必要なのが、本作の醍醐味のひとつだと思います。

ギヨームは小悪党ですが、どこか憎めないキャラクターが好きです。
遺体から金品を盗むのは良くないですが、遺体の瞼を閉じさせている辺りに、コソ泥なりの矜持が見られます。

主人公を含めて、全員がそれぞれの事情を抱えており、それぞれの人生を生きているのだと感じられます。
作品全体にTRPGやゲームブック的な雰囲気があり、誰を主人公にしてもゲームとして成り立ちそうなのが、舞台設定の素晴らしい点です。
乗員すべてがプレイアブルキャラクターだったら、どんな能力かという妄想もしましたが、なかなか楽しかったです。
戦闘系はモーリス、ニコル、運系はノエル、ドナ、ギヨーム、バランス系はヴェラ、ジョージ、ヴィクトールといったところでしょうか。
固有Perkでそれぞれ差別化を図れば、成立しそうな感じはあります。

以上、とりとめのない感想でした。

そのほか、本ブログで紹介しているゲームをまとめた記事はこちらです。
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