2019年2月21日に「アメトーーク!」で、「ろくでなしBLUES芸人」という内容が放送されました。
自分が小学生の頃は、ジャンプを読んでいても、この作品は真面目に読んでおらず、詳しい内容は知りませんでした。
しかし大人になってから、同じ作者の「べしゃり暮らし」を読み、とても面白くて感動した経験がありました。
そのようなタイミングが重なり、一度読んでみようかということで、文庫版・全25巻を読みました。
結論から言うと、とても面白かったです。
作品概要
帝拳高校に入学した前田太尊を主人公とした、不良の抗争を中心とした学園モノの漫画です。
物語は「強さ」を追い求める男たちの戦いというテーマを軸に描かれますが、高校生らしく友情や恋愛といったテーマもしっかり描かれます。
主人公の前田太尊が高校を卒業するまでが、しっかりと描かれています。
基本的には、大きなエピソードの中でストーリーが進んでいきますが、一話完結のエピソードも多数あります。
一話完結のエピソードでは、数多い登場人物のキャラクターを掘り下げるようなものが多く、その内容もドラマ性が非常に高いです。
登場人物一人一人が生き生きと動いており、とても魅力のある作品です。
感想
大人になった今読んでみると、本当に面白い作品でした。
しかし、なぜ子供の時は読まなかったのかと考えると、それは絵柄が苦手だったからだと思います。
本作は多少崩して描く場面はあっても、ほとんどは劇画調のシリアスな絵柄です。
ジャンプで似た内容の漫画「BOY」(梅沢春人)は、全巻集めているくらい好きだったので、本作のような男臭い絵柄が苦手で敬遠していたのだと思います。
余談ですが、同じ理由でジョジョも敬遠していましたが、大学時代くらいに、ようやく面白さが分かるようになってきました。
読み始めて、まず時代を感じたのが喫煙の描写についてです。
現在ではアニメでも未成年者の喫煙シーンは厳しく制限されていますが、本作品では高校生が軒並み、みんなスパスパ吸っています。
タバコと言えば、手っ取り早く不良に見えるアイテムだったのだと思います。
内容について言うなら、王道的な展開で、文句なしに面白かったと思います。
強敵が出現したとき、太尊は一度やられたとしても、最後には必ず勝つので安心して読んでいられました。
巻を進めるにつれ新しい技も習得していきますし、ドラゴンボールほど派手ではないにせよ、着実に強くなっていく感じがありました。
敵役で特徴的な点は、「本当に悪い奴はいない」という点です。
登場時は極悪で、同情する価値など全くないと思うキャラクターがいても、みんなそうなってしまった理由があります。
最終的に前田が相手を倒した後、その相手も改心・反省するので、後味が良い物語です。
この辺りは、読んでいて不快な感じはありませんでした。
しかし小さい頃にこの作品を読んでいたとしても、なかなか面白さを感じられなかったかもしれません。
なぜなら登場人物の多くが思慮深く、すべてを語ってくれるわけではありません。
しっかりとストーリーを味わうためには、「行間を読む」ような読み方も必要になってきます。
強大な敵を倒すために修行してやっつけるという展開だけならば、子供でも分かりやすく楽しめるでしょうが。
僕の場合、本当につい最近読破したわけですが、とても面白かったです。
大人でも楽しめますし、色々と学ぶことのある作品だと感じました。
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キャラクター所感(ネタバレあり)
多くのキャラクターが登場する本作ですが、特に印象に残ったキャラクターについて、思うところを書いてみます。
ネタバレもあると思うので、これから読もうとしている人はご注意ください。
・前田太尊
主人公らしく男気にも溢れるキャラクターで、とても頼りになりました。
相手のボス各と戦って、やられてしまっても最後は必ず勝つため安心感がありました。
時には馬鹿なことをしてしまうこともありますが、そこがまた憎めないところでした。
・七瀬千秋
太尊との関係が、一向に進展しないでやきもきしました。
しかし、男から行かなければなかなか付き合う関係にならないのは仕方ないとも思います。
何だかんだで、色々な男から言い寄られても断っていますし、アメトーーク!で言われているほどは、イライラしませんでした。
・鬼塚
太尊並の強さで登場した明確な敵としては、非道なキャラクターでした。
しかし再登場後は改心し、太尊に感謝の気持ちを持っているようです。
なかなか冷静なキャラクターですし、ギャップ効果もあって好きです。
・薬師寺
四天王の中ではいまいちな印象です。
立ち位置的には太尊と似ており、人望も厚いキャラです。
・葛西
鬼塚の上を行く非道さが目立ちましたが、理由を聞いてしまえば同情する点もあります。
葛西と共闘するシーンは、かなり胸が熱くなるシーンです。
四天王の中では、一番強いのではと感じます。
・川島清志郎
単独の戦闘力としては、作中最強ではと感じます。
しかし四天王共闘の展開では、さすがに分が悪かったのでしょう。
・白井隆人(サリー)
作中で唯一、あまり反省が見られない卑怯な男です。
しかし千秋に惚れたのは本当のようで、太尊と千秋の距離を縮めたキューピットとも言えます。
・原田成吉
短い期間限定のキャラクターと思いきや、まさか生涯のライバルとなり得るキャラだったとは。
・島袋大
太尊とは敵対している関係ながら、悪友のようなやり取りをしています。
本当は強いのに、色々な事情で表に出ず、それを言い訳もしないキャラクターで、かなり男気に溢れていると感じます。
報われてほしいと強く感じます。
・中田小兵二
こういうおとぼけキャラクターが、たまに真面目な活躍をすると、ギャップ効果で人気が出ます。
尊大で勝手な発言が目立ちますが、実は色々なことを気にかけている点が良い味です。
・大場浩人
若く思慮が浅い面が目立ちますが、最終的には一皮むけたと感じます。
太尊の中の子供っぽいキャラクター部分が、別の人物となって出てきたような存在に感じます。
・海老原昌利
太尊の後輩ながら、強い描写が多く、格好いい役回りが多いです。
登場時は好戦的で面倒くさそうな存在でしたが、その後は良い感じの後輩キャラに。
・石松徹也
本当は強いけど心が優しいから本気は出さない系のキャラ。
海老原との関係性がいいなと思います。
・大橋英和
小物キャラで終わるかと思いきや、ボクシング対抗戦編では、主役級の活躍でした。
好戦的なところはありますが、ボクシングに対して真面目なところに交換が持てました。
・井岡、竹原、沼田
みんな嫌な教師役として登場しますが、その役割がどんどん移動していきます。
井岡などは、まったく憎めないキャラとなってしまっていました。
最終的には、沼田がとても嫌な奴として描かれていますが、ひどい目に遭っているので、あまりストレスはありません。
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