ル・ソレイユの殺人(フリー・ミステリーアドベンチャー)紹介・感想

ゲーム
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サークル・flag flag様による、ティラノスクリプト製の推理アドベンチャー「ル・ソレイユの殺人」の紹介記事です。
(Read meの作品名表記としては『Le Soléilの殺人(ル・ソレイユノサツジン)』です)
雪に閉ざされたペンションを舞台にしたクローズドサークル物の作品です。
王道の設定ながら、とても丁寧な作りで引き込まれるミステリーアドベンチャーでした。

クリア時間は約3時間半でした。
(公称プレイ時間は6~7時間です)

ゲーム概要

主人公・高杉悠介は、幼馴染・綾原ほのかをスキー場に送り届ける途中、悪天候により道に迷ってしまいます。
遭難の一歩手前の状況で、ペンション「Le Soleil(ル・ソレイユ)」を何とか見つけ、天候が回復するまで滞在させてもらえることになります。

プレオープン中ということもあり、少数の宿泊客と従業員だけが滞在する中、事件が発生します。
外部との連絡が取れない状況で、事件はどのような結末を迎えるのでしょうか。

 

ほぼ一本道のミステリーノベルです。
途中で探索パートがあるため、ノベルではなくアドベンチャーと銘打っていますが、先に進むのに手こずることはないと思います。
選択肢によって結末が変わるのは、終盤の推理パートのみです。

エンディングは、事件解決エンドと未解決エンドの2種類です。

感想(ネタバレ無し)

落ち着いた雰囲気の作品で、じっくりと良質なミステリー小説を読んでいる気分でした。
展開としてはオーソドックスな作りで、奇をてらっているわけではないのに、どんどん引き込まれてしまいました。
僕は素人なので、文章のどの点が優れているのか判断が付かないのですが、読んでいてストレスを感じることが全くありませんでした。
テキストの切り方、ウィンドウ表示、物語の展開の納得度、キャラの造形など違和感を覚えることはなく、DAY2を迎えるころには完全に没頭していたと思います。
適切な表現かはわかりませんが、ストーリーでぐんぐん引っ張っていくというイメージではなく、途中でプレイを中断する理由が全くない、という感覚でした。

推理の難易度としては高くないと感じます。
推理モノを読み慣れている人であれば、犯人は指名できるのではないかと思います。

ミステリーをメインに据えながらも、主人公とヒロインの関係性を織り込んで描いていたと感じました。
取って付けたようなものではなく、作品全体として有機的に結びついている物語だと思います。
とても良い読後感に浸れる、素晴らしい作品だと感じました。
この項目ではネタバレには触れられませんが、多くの人にお勧めしたいミステリーアドベンチャー作品です。

感想いろいろ(ネタバレ有り)

注意!
この項目では、物語の結末に踏み込んで書いているため、プレイ前の閲覧はご注意ください。
一応、犯人が判るような直接的な言及はしないよう注意しています。

 

 

本作で強く印象に残っているのは、悠介とほのかの関係性です。
プレイ開始時、悠介が27歳とあったので、幼馴染のほのかもそれくらいなのかなと思っていました。
それにしては少し幼いなと思って人物リストを見たら、ほのかは大学生だったので納得しました。
幼馴染といっても同い年ではなくて、少し年の離れた関係というのが新鮮でした。
安易な恋愛関係ではなく、疎遠だった兄妹というか家族のような関係でほっこりしました。

部屋を荒らされているのが発覚する直前、全然起きて来ないことから「ひょっとしてヒロインが殺されて主人公が推理に本気を出すようになる展開か!?」と戦慄しましたが、そんなことはなく無事で良かったです。
悠介に対して辛辣な言動もありますが、仕草が可愛い点や律儀な性格に魅力を感じて、どんどん好きになっていったキャラです。

ミステリー作品だと、どうしても登場人物の属性が、記号的・役割的になることが多いと思うのですが、本作ではそうは感じず素直に楽しむことが出来ました。
主人公の悠介は推理によって事件を食い止めましたが、ヒロインのほのかも説得によって犯人の命を救うことが出来たという役割分担が凄く良かったです。
推理モノのヒロインというと、怖がってばかりで役に立たないイメージが強いですが、物語の内容的な意味で大事な役割を担っていて感動しました。
説得の内容も薄っぺらな一般論等ではなく、これまで描かれているほのかの人間性と合致するものであり、違和感を感じることがありませんでした。

ミステリーをメインに据えながら、主人公の成長も本筋と調和させ、上手に描いていると感じました。

 

 

谷地君の最初に登場した印象としては、岩隈につかみかかったりするなど、軽薄で粗暴なキャラなのかなと思っていました。
しかし物語が進むにつれて、(馬鹿かもしれないが)決して思慮が浅い人間ではないと思うようになっていきました。
悠介から「何かあったときにお前が彼女を守るんだ」のようなことを言われたとき、認められた嬉しさが感じられる上記スクショのシーンが結構好きです。
何やかんや慕ってくる後輩キャラ的な所が魅力で、乃愛が彼を可愛いという気持ちが分かるようになってきました。

 

佐伯は気難しい芸術家タイプのキャラでしたが、岩隈の手が加えられていない部屋(つまり佐伯の意向がそのまま反映されている部屋)を悠介に褒められて、そこからデレているのが可愛いなと思いました。
推理パートにおいても、悠介が指摘した通り、話を進めやすくフォローして助けてくれているのが解り、頼りになりました。

 

長谷川さんはずっと良い人で、どうか幸せになって欲しいと祈ってしまいました。
いきなりペンション管理の責任者を任されて大変でしょうに、突然現れた悠介たちを受け入れてくれて本当にありがたいなと思いました。
ハードな状況が続くのに、一貫してお客様第一の姿勢を崩さないプロ意識には頭が下がります。
流石にストレスでお腹の調子が悪くなってしまったようですが、そういった弱音をなるべく見せないようにしており、逆に心配になります。

 

武内君は信念を持った料理人で、素直に好感が持てる人物でした。
犯人として指摘すると、「俺のこと…信じてくれてなかったんですか…」と言われるので心が痛みます。
推理シーンの犯人誤指名シーンは、どれも心が痛む展開になるので辛い気持ちになります。
将来、気軽にフランス料理が楽しめる自分のお店を持てることを願ってます。

 


それ以上いけない

 

 

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