Inifis(フリー・短編マルチエンドRPG)紹介・感想

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逃げ足氏による「第16回WOLF RPGエディターコンテスト」のエントリー作品『Inifis』の紹介・感想記事です。
同居人が儀式で聖者の依り代に選ばれてしまったため、日常を取り戻すために足掻く神官が主人公のマルチエンド短編RPGです。

全エンディングクリアまで、約2時間~3時間ほどでした。

ゲーム概要

両親が禁忌に手を出してしまったために、村人から距離を置かれている神官が主人公・ケイレスです。
<彼女>(プレイヤーが名前入力)と二人きりながらも穏やかな日々を過ごし、今年も儀式の日が近づいてきました。

 

ところが儀式を執り行う都の導師・ネウロは、自分たちが連れてきた依り代候補の少女ではなく、一緒に暮らしている<彼女>を依り代にするというのです。

 

<彼女>を依り代にするわけにはいかないケイレスは、何とか回避するため、限られた時間の中で奮闘していきます。

作中ではどんどん時間が経過していくため、無駄なく行動していかなくてはなりません。

 

<彼女>を依り代にしない方法は一つではありません。
二人で村から逃げる、導師を殺害する、何なら村人全員を殺すなど、様々な方法があります。
どんな方法を取るかによってエンディングは様々に変化します。

 

戦闘は、オーソドックスなターン制のコマンド式バトルです。
ストーリーの性格上、ほとんどの登場人物に戦いを挑むことが出来ますが、無闇に戦ってもあっさり返り討ちに遭ってしまいます。
一度エンディングを迎えると、能力やアイテムを引き継いで周回プレイできるので、繰り返しプレイして鍛えていきましょう。

 

エンディングは14種類ありますが、専用のフィールドでエンディング条件などは確認できます。
また、詰まりそうなポイントについては、ゲームファイル同梱のメモ帳にヒントが書いてあります。
これらを参考にすれば、全てのエンディングを見ることはそれほど難しいことではありません。

 

感想(ネタバレあり)

ここから先は重要なネタバレがあるため、作中でせめて「回帰の心」を入手してから閲覧することをお勧めします。

 

 

熱中して、最後まで一気にクリアしてしまいました。
作者様が『シイの墓守―The Good People―』や『Fanastasis』をリスペクトしていると明言されている通り、それらが合わさったような雰囲気が味わえる作品でした。

どちらも闇が深く陰鬱な雰囲気が漂う作品で、相性良く融合していたように思います。
引継ぎがあるお陰で戦闘難易度はそれほど高くなく、ある程度強くなった後はアドベンチャーゲームのように攻略に専念出来て良かったです。

 

叙述トリックというほどではありませんが、僕自身、家に居るのが妹だと思い込んでしまっていました。
しかし周回プレイで注意深くテキストを読んでいると、家で寝ている<彼女>を、誰一人として「妹」と呼んでいないことに気付き、騙されてしまいました。
ケイレス自身がそれを自覚しているからこそ、「妹」と<彼女>という言葉を厳密に使い分けているのでしょう。
地下墓地の隠し通路で初めて事実が分かった時は驚きました。

 

何となく、魔界の転移陣から脱出するローグENDが印象に残っています。
逃亡先で、結局<彼女>は死んでしまうのですが、最後までやり切った感がありました。
ローグも悪魔と契約していたようですし、ケイレスと似たような事情があったのかもしれません。

何となく、手塚治虫の『アドルフに告ぐ』終盤のパレスチナで登場するアリ・モルシェードが脳裏に浮かびました(分かる人いるのか?)。

 

プレイヤーによって、これが自分のTRUEエンドだというエンディングがあると思いますが、僕はオーソドックスに再起ENDが良かったです。
自らの嘘と過ちと向き合って、未来に向かって歩いていくというのは、シンプルに希望が見出せる結末だったと思います。

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