すたーあいす*氏による「第16回WOLF RPGエディターコンテスト」のエントリー作品『勇者不適伝』の紹介・感想記事です。
和解型RPGと銘打たれている通り、敵をガンガン倒していくのではなく、和解していく戦闘システムとハートフルなストーリーが特徴です。
クリア時間は難易度「ふつう」で約3時間でした。
ゲーム概要
魔王によって、人間と魔物たちとの争いが続いている世界(日本)が物語の舞台です。
魔王を倒すための「戦士」になるための養成機関に通う主人公・ひろとは、戦士となるための卒業試験を間近に控えています。
最高の戦士「勇者」はおろか、戦士になることすら難しそうな成績のひろとですが、兄との約束を果たすため、新たな戦法で平和を実現しようと、幼馴染・あすかと旅立ちます。
ゲーム開始時に戦闘の難易度を選べます。
僕は「ふつう」を選びましたが、特別難しいとは感じないちょうど良い難易度でした。
歯応えを求める人であれば、「むずかしい」を選んでも良いかと思います。
ダンジョンはノンフィールドRPGの形式で進行していきます。
先に進むとアイテムを発見したり、仲間同士のイベントや戦闘が発生したりします。
セーブはいつでも可能で、街へはいつでも帰還できます。
本作の戦闘は、相手のHPを0にするのではなく、FIを0にすることが勝利条件です。
FIを0にする前にHPを0にしてしまうと敗北となってしまうので注意しましょう。
行動順は固定で、味方①→味方②→味方③…と進行し、そのあと敵①→敵②→敵③…と進んでいきます。
行動はそのキャラごとに即実行されるので、行動順を把握した上で考えていくことが大事です。
味方はHPが0になると戦闘不能になり、スキルを使うためのSPは毎ターン5ずつ回復していきます。
敵の状態は「平常」「警戒」「好戦」等があり、状態によって技の効きが変わります。
有効な技を使うことで有利に戦っていくことができます。
敵のFIを0にすると和解状態となり、攻撃してこなくなります。
それどころか、毎ターンこちら全員のHPを5回復させてくれるようになるため、戦闘が有利になります。
和解しやすそうな敵を見極めて、素早く無力化していくことが重要です。
全滅してしまっても、その場で即リトライしたり、アイテムを購入して準備し直すことができます。
詰みにくい親切な設計なので、長い間セーブしていなくても安心です。
戦闘終了時に全回復する仕様なので、街の宿屋ではお金で経験値を買う施設となっています。
時間制で滞在する点や、滞在することで経験値がもらえるというのが独特です。
感想(ネタバレほぼ無し)
エンディングは2種類あり、どちらも見てクリアしました。
分岐点は物語の一番最後にあるため、セーブしておけば確認することは容易です。
ジャンルとしてはノンフィールドRPGということになるのでしょうが、敵を倒していくのではなく和解していくという点が新鮮でした。
ストーリーだけでなく、戦闘システムも和解が目的になっているため、物語とシステムの統一感がありました。
中世ファンタジーのような世界観ではありますが、日本の未来という設定なので、「現代的な語句が登場するのはおかしい」という批判は不適当です。
全体的に根は良い人(魔物)が多いので、優しい気持ちでプレイすることが出来ました。
ただ、今まで同作者様の作品をプレイしてきた自分としては、こんなに穏やかにストーリーが進んでいって大丈夫かな?という不安は常にありました。
穏やかだなと思いながら、ちゃんと刺激的なテキストもありますのでご安心ください。
作中のBGMで特に好きなのは、通常戦闘B「エピステーメー」と、ED「アクアの旅路」の2つです。
基本的にボス戦は個別曲があてられているため、とても贅沢な作り込みだと感じます。
戦闘だけでなく、ストーリーも重視している作品なのでここでは深く語りません。
ちゃんと予想を裏切ってくれる展開がありますし、何かを選択すれば何かを失うというビターな気持ちを味わうことが出来ます。
しかしプレイ後の感触は後味の悪いものではなく、優しい気持ちになれるものだと思います。
興味を持った方はぜひプレイしていただければと思います。
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