第15回WOLF RPGエディターコンテストの応募作品『救済少年の終末』の紹介記事です。
地球滅亡までの最後の10時間を過ごす、9歳の少年が主人公のアドベンチャーゲームです。
クリア時間は約1時間弱でした(全ED回収まで)。
ゲーム概要
隕石が地球に衝突することが分かり、ほとんどの人が別の惑星に移住してしまった世界のお話です。
地球に居残るのは何かしら事情がある人で、主人公の少年のその一人です。
ゲーム開始時の説明にもあるように、少年は、地球滅亡までの残り10時間を「価値のあるものにするため」最後の日を過ごします。
ゲームは、横に広がったマップを歩いていき、人と話したり、モノを調べることで進んでいきます。
現実時間で1秒につきゲーム内では1分時間が進むため、現実時間で60秒経つとゲーム内では1時間が経過します。
登場するキャラクターたちは、時間帯ごとにマップを移動していきます。
時間は特定のキーを押すことで早送りできるので、わざわざゲームを放置して待つという必要はありません。
どの時間帯に誰がどこにいるかは、タイムスケジュール表を参照することでわかります。
ただ、時間制限はそれほど窮屈ではないので、緻密なプレイが要求されるわけではありません。
ゲーム内の人物に話しかけることで、様々なお願い事をされることがあります。
はっきりと依頼されなくても、関係ありそうなものをその人物に提示することで、イベントが進行していきます。
目的地に一瞬で飛べるワープ機能や、会話を飛ばすスキップ機能も完備されているので、快適にプレイできると思います。
最期の時を価値あるものにするため、様々な人と関わってみましょう。
感想(大きなネタバレは無し)
全てのEDを1時間弱で回収することが出来ました。
また、トゥルーエンドも1周目のプレイで見られました。
難易度は高くないので、時間帯ごとに丁寧にみんなに話しかけていけば、順調にイベントを進行していけると思います。
一気にクリアしたくなるように、イベントの流れがスムーズに作られていると感じました。
一度クリアすると閲覧できるEDリストでは、まだ見ていないEDの条件を教えてもらえます。
トゥルーエンド以外のEDは比較的回収しやすいと感じたので、繰り返し何度もプレイを強いられるということはありません。
作者様の「すたーあいす*」氏によるこれまでの作品同様、童話のような優しいタッチの中に、独特の生々しさが散りばめられている作品です。
これまでの作品「色は黒に包まれて」や「父と娘のまちがいさがし」に心を打たれた方は、ぜひプレイしてみてください。
逆に、本作をプレイして気に入った方は、上記の作品をプレイすることで、より苦みのあるプレイ体験ができると思います。
短い作品ですので、一息でプレイできると思います。
なお、トゥルーエンド以外のエンドこそが、いつもの作者様の世界だなという印象で逆にホッ(?)としました。
感想(ネタバレ注意)
トゥルーエンドでその他のエンドでも、最後に地球が滅亡するという未来は確定されており、滅亡が回避されるなどというご都合主義な展開はありません。
最期の時間に良いことをしようが悪いことをしようが、地球外に住む人に影響を与えることはありません(配信イベント関係は多少影響あるかもしれませんが)。
しかしだからといって、トゥルーエンドに至るまでの少年の体験が無価値だったとは思えません。
本作をプレイして改めて思ったことは、その人自身の行いによって、体験した時間は価値あるものにもできるし、無価値なものにもできるということです。
作品内に限らず我々の住む現実であっても、いずれは地球は太陽に飲み込まれて滅亡しますし、そこまで未来ではなくても、全ての人は何らかの理由により死を迎えることは確定しています。
したがって、すべての人生は無価値だと言うこともできますし、この一瞬一瞬の体験に楽しさを感じていればそれだけで価値があるということもできます。
こういったフリーゲームをプレイしている人であれば、体験を通して何かしらの価値が得られたという実感があるのではないでしょうか。
病気により灰色にしか見えないはずの視界が、豊かな彩りで満たされたラストシーンは、それを象徴しているように感じます。
「価値」とは個人の主観に依存するものであり、考え方によってコントロールできるものだ、という自分の考え方を、改めて深める結果に至りました。
異論はもちろんあると思いますが、全てが無価値だという考え方よりも、その逆の考え方のほうが前向きに頑張れる気がします。
とりあえず説教臭い御託はこれくらいにしておきまして、改めて作者のすたーあいす*様に、感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
素晴らしい作品をどうもありがとうございました!
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